身体は色々な場所に痛みが生じますが、もっとも頻繁に報告されている痛みは圧倒的に腰痛です。次に多いのが、今回取り上げる頭痛です。
WHO(世界保健機構)が2011年度に行った調査では、成人の47%が1年に1回以上頭痛になったことがあると答えています。頭痛にもいろんなタイプがありますが、今回はその中でも一般的な頭痛を紹介し、その原因を探りたいと思います。
まずは「緊張型頭痛(Tension Headache)」です。名前からもわかる通り、これは後頚部や肩の筋肉が緊張し、硬くなって収縮することが原因で起こる頭痛です。このタイプが一番多く、頭痛を経験した人の中で女性の80%、男性の65%以上がこれにあてはまります。症状は鈍痛で、ジーンとした鈍い痛みです。デスクワークをする会社員や、遅くまで机に向かって勉強する学生さんに比較的多く見られます。
前回も紹介したように、これは猫背からくる「上位交差症候群」が原因です。長時間頭を下げているので、その影響で首や肩の筋肉が緊張し、限界に近づいていることを知らせるために痛みを発している、と考えてよいと思います。習慣的に頭痛薬を飲んで作業を続けるのは、症状を悪化させるだけです。5分ほど休憩を取って、ストレッチや前回のコラムで紹介した「アイソメトリック運動」などをすると効果的です。
次に多いのが「片頭痛(Migraine Headache)」で女性の25%、男性の8%ほどが経験しています。これは緊張型よりも症状や原因が複雑で、30代以前に発症した場合は遺伝的な要素もあると言われています。症状によっては、まぶしい光や大きな音に敏感になったりめまいや吐き気を伴ったり、また視覚に影響を与えることもあります。ズキズキと脈打つ痛みで、頭の片側だけが痛むことから片頭痛と呼びます。
原因は遺伝、食生活の偏り、不規則な生活習慣などが一般的で、その他にもストレスや寝不足など色々な要素があります。頭痛はランダムに起きるので、記録をつけることでその引き金となる原因が絞られることがあります。そこで「頭痛ノート」を作ってみることをお勧めします。
たとえば片頭痛になった日に食べたものやアクティビティなど、記憶に残るものをリストに書き出します。忘れないように、頭痛があった日に書くのがいいでしょう。リストを重ねていくうちに、特定の共通点が分かってきます。たとえば脂っこいものをたくさん食べた日とか、夜更かしした翌日、など。それらの共通点をひとつずつ止めていき、その後の頭痛の頻度と照らし合わせてみて下さい。もし片頭痛の頻度が減ったり、痛みの症状が改善されたとしたら、それが悪影響を与えていたと分かるでしょう。
最後に片頭痛の患者さんに共通していることで代表的なのが、悪い姿勢と首のゆがみです。実際に姿勢の矯正や首へのマッサージが片頭痛の症状を和らげるといった報告書はよく見られます。
慢性的な頭痛に対して、頭痛薬でその場しのぎをするのではなく、原因を探して改善する助けになれば幸いです。
[パク先生カイロプラクティック]