みなさんはアイソメトリック運動をご存じですか? 筋肉の長さを変えずに筋力を使うという運動です。
どういうことかというと、例えば腕立伏せをする場合、腕を曲げた時と伸ばした時では筋肉の長さが違います。筋肉は動くときに伸びたり縮んだりします。ジョギングでもウェイトトレーニングでも、ほとんどの場合、筋肉は伸びたり縮んだりしています。
しかしケガをしてしまった場合、動きが伴う運動をすると痛みが走るので、いつも通りの運動ができないことがあります。そういう時に役に立つのがアイソメトリック運動です(注:筋肉に損傷があり、安静が必要な場合は除く)。
まず、図1を見てください。オデコや後頭部、または頭の側面を手でおさえて前後左右の頭の動きを止めています。このまま何もしなければ運動にはなりません。しかし、手でおさえている方向に頭を動かそうと首の筋肉に力を入れると、かなりの運動になります。
初めてこの運動を行う人は、少しぎこちなく感じるかもしれません。ただ、最初から強い力を入れるよりも、おさえている手の力よりも少し弱く行うのがコツです。力を強く入れすぎて頭が動いてしまってはこの運動は意味を成さないからです。
実はこの運動は、健康な人も常に行うべきなのです。筋肉は複雑に何層にも重なっていて(図2)、同じ首の筋肉といっても角度や位置によって、筋肉の大きさやその役割が全く違います。ところが普段我々が使っている筋肉は、ほとんどが動きを伴う時に使う筋肉で、外側の大きな筋肉が主に使われています。そのため脊椎に近く、小さいけれど健康を保つ上で重要な筋肉はあまり使われず、弱体化してしまっています。アイソメトリック運動はそれらの筋肉を使うため、ぎこちなく感じられるのでしょう。
アイソメトリック運動をじっくりとやると、首や肩が軽くなる、または頭痛が治ったという声をたくさん聞きます。その訳は実に理に適ったものですが、それはまた今度、頭痛をトピックにした時に説明します。
今回は首のアイソメトリック運動を紹介しましたが、身体のほとんどどの部分でもできる運動なので、ぜひ試してみてください。
[パク先生カイロプラクティック]