「関連痛」という言葉を知っていますか?
以前、放散痛(Radiating Pain)についてご紹介しました。これは腰や骨盤の痛みや筋肉のコリが神経を刺激して、近辺のお尻や股関節の筋肉、または太ももやふくらはぎなど足の方まで痛みが拡散する症状でした(例:坐骨神経痛)。つまり、痛みが発生している患部の影響で他の場所にも痛みが生じるというものです。
実はこの放散痛以外にも、関連痛(Referred Pain)というものがあります。メカニズムは似ていて、どこか良くない患部が神経を通して、全く違う場所に痛みや刺激を与えることです。
最も馴染みのある関連痛の例として、アイスクリーム頭痛(Ice Cream HeadacheまたはBrain Freeze)があります。よく夏にかき氷を早く食べて、頭がキーンとなる症状です。
口の中に一気に冷たいアイスが入ると、脳神経の一つである三叉神経(図1)が刺激を受けて痛みを発生させると言われています。箇所を見ると分かる通り、こめかみのあたりが痛くなります。また、身体の一部の体温が急激に冷えると、血流の流れを膨張させて体温を上げようとするために、ドクドクと脈打つような痛みも加わります。
アイスクリーム頭痛は皆さん一度は経験されていると思いますが、よく知られていない関連痛も数多くあります。図2を参照してください。
右肩や右側の首に痛みがある場合の原因の一つに、肝臓や胆囊(たんのう、Gallbladder)の病気や機能の低下があります。また腰のあたりが全体的に痛いけれど理由がよく分からないという時に、腎臓病と関連がある場合もあります。その他にも胃腸の問題が原因で背中が痛くなったりもします。
このように神経を通って痛みが生じるのですが、原因は全く違う場所にあるというのが、関連痛です。アイスクリーム頭痛になった時に頭痛薬を飲む人はいませんよね? それは誰もが、頭痛の原因が冷たい食べ物だと知っているので、いったん食べるのを止めればすぐに治るからです。
このように長年、身体のどこかが痛いまたは調子が悪いといった場合、実は原因は全く違う場所にあるのかもしれません。関連痛は内臓と深く関わっているので、痛みが発生している患部の治療だけでなく、日頃の食生活や習慣なども見直してみる必要がありそうです。
よく分からない、またはちょっと心配だと思った方はぜひチェックアップしてみてください。
[パク先生カイロプラクティック]