コーディネーション(Coordination)という言葉は、医学的にいろいろな意味があります。バランス感覚、筋肉の調整、また身体の動きの協調性を説明する際も、コーディネーションと言います。脳と身体のコントロールが一致していることも「コーディネーションが良い」と表現します。
たとえば私の息子は生後7カ月ですが、赤ちゃんなので身体のコーディネーションがうまくいきません。見ている側は微笑ましく感じますが、本人は真剣な表情で寝転がったり、座った状態でハイハイの体勢を取ったりと毎日一生懸命です。幼い子どもが何か動いているものを目で追うときに頭全体を動かして追いかけるのも、まだ、目と脳のコーディネーションが別々にものを追いかけられないため。赤ちゃんの目の前で、何かを左右に振ると、頭ごと視線を移します。成長して大きくなると、視界の内にある場合は頭を動かさずに、目だけで物体を追うことができるようになります。
成長と共にコーディネーションや筋力、そして運動神経が発達していきますが、成人になると、健康維持のために食事制限や運動をするのと同じように、コーディネーションの訓練も必要になります。眼球を上下左右、斜めに動かす以外にも、遠くのものを見たり近くのものを見たりする時に、目のレンズを調整する筋肉を使うことが大切です。最近はパソコンやスマートフォンを長時間見続けるこ
とが多いので、眼球の可動範囲が極端に狭くなっている場合もあります。そういう方は視界が狭くなるので、幼い子どものように、何かを目で追いかけるたびに頭ごと動かします。目の筋力の低下と共にコーディネーションも失っていきます。そこで紹介したいのが、次の目と脳のエクササイズです。1. 椅子に真っすぐ座って、背筋もピンと伸ばします。2. 適当な距離に何かを置きます。3. 目はその物体をじっと見つめながら、頭を左右にゆっくりと動かします(眼球の可動範囲いっぱいに行うと、より効果的)。4. 同じ要領で頭を上下にも動かします。5. 反対に頭を動かさない状態で、目だけ可動範囲の両端にある特定のものを交互に見てください。6. 同じ姿勢で何か遠くにあるものをじっと見つめてから、パッと目の前にあるものを見ます(窓から遠くの景色を数秒ほど見てからデスクにあるペンなどパッと見るイメージ)。これを数回ずつ繰り返しましょう。
普段あまり使わない部分を動かすことで、コーディネーションの向上につながります。ただし、めまいや吐き気があった場合はすぐストップし、症状が長引く場合は医師に相談しましょう。