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中高年以降で発症しやすい口腔がん

健康な歯でスマイルライフ

日本では北海道医療大学歯学部で博士号を取得。米国でもロマリンダ大学歯学部を卒業し、2005年にPAN-PACIFIC DENTISTRY(パンパシフィック歯科医院)を開業した中出修先生に、アメリカで生活する日本人へ向けて歯や口腔について、説明していただきます。

中高年以降で発症しやすい口腔がん

先日、日本の元アイドルの有名芸能人が口腔がんの1種、舌がんの闘病中であることを公表(後日、食道がんも発覚)。日本では口腔がんを心配する方が増えていると聞きます。最初に診察した病院や歯科医院などにおける口内炎との誤診や、その誤診によりレー ザー照射などの治療を行うといった対応のまずさも指摘されています。残念なニュースのように感じた方も多かったのではないでしょうか? 手術は無事成功とのことですが、1日も早い回復を祈るばかりです。今 回は、このケースの問題点を含め、口腔がん 全般について改めて書きたいと思います。

口腔がんについて

口腔がんは、全身のがんの1~4%程度に過ぎないと言われています。しかし、噛みタバコの習慣のある東南アジアの国などでは、30%に及ぶ場合もあります。アメリカでは年間約5万3,000人、また日本では年間約2万人が口腔、咽頭のがんになると言われています。男女比では、男性に約2倍多く、ヒトパピローマウイルス(HPV)の口腔感染の増加に伴い、その発症は年々増加傾向にあります。

口腔がんの要因には、喫煙、飲酒、虫歯や不適合な歯の修復物による慢性的な機械的刺激、HPVなどが挙げられます。40歳を過ぎた中高年以降に発症しやすく、平均年齢は60歳前後。口腔の至るところで発生しますが、舌がいちばん多く、口腔がんの約半数を占めます。中でも多いのは舌の側縁、後方3分の1の部分です。見た目はさまざまで、特に初期においては目視だけだと診断が難しいことも少なくありません。白斑、紅斑、隆起型から凹んだ潰瘍状のもの、触って硬いタイプから軟らかいタイプ、痛みや麻痺を伴うものまであります。口内炎など炎症性のものは、その原因を取り除けば2週間以内に治癒することが多いのですが、良くならない場合は悪性の可能性を疑わなければなりません。一般歯科医の場合は、この時点で口腔外科などを紹介します。専門医による精査、細胞診や病理診などを経て確定診断が下されます。

口腔がんのスクリーニング

口腔内をいちばん診察する機会が多いのは、おそらく歯科医でしょう。歯科医院で初診時はもちろん、定期的に口腔内全般の粘膜および顎や頸部のリンパ節の視診、触診によるチェックを受けることが重要です。また、ごく稀ながんとして、顎骨内のがん(顎骨中心性がん)もあります。定期的なレントゲン検査によって見つかることもあるので、がんの発見には顎全体のレントゲンが有効となります。

セルフチェックもできます。口の中に白斑や紅斑はありませんか? 治りにくい口内炎は? 出血しやすい傷や硬くなった箇所はありませんか? 顎の下や首の脇に腫れはありませんか? 食べ物が飲み込みにくくありませんか? このような自覚がある場合は、歯科、口腔外科、耳鼻科などへの受

中出 修
福井県出身。1985 年、北海道医療大学歯学部卒業。1993年、同大で博士号を取得後、講師に就任。 2003年、ロマリンダ大学歯学部卒業。歯科医勤務を経て2005年、タコマ近郊に開業。2006年10月にサウスセンターモール近くに移転。 パンパシフィック歯科医院 Panpacific Dentistry 411 Strander Blvd. Suite 207, Tukwila, WA 98188 ☎ 253-243-7748