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歯周病と食道がんの関係

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歯周病が糖尿病、高血圧、心疾患、脳梗塞、誤嚥性肺炎、早産などを引き起こす原因となりうる可能性については、このコラムでも何度となく取り上げてきました。最近では、歯周病とがんの関係を示唆する論文も増えてきています。今回は歯周病と食道がんの関係について書きたいと思います。
食道がんについて
米国疾病予防管理センターによれば、毎年、約1万5千人が、食道がんと診断されるそうです。食道がんは男性に多く、その原因として、今のところもっとも確実視されているのは飲酒、喫煙あるいは刺激の強い食事といった生活習慣ですが、逆流性食道炎などの疾患が引き金となることもあるようです。飲酒と喫煙に関しては、ヘビースモーカーで、酒に強くなく飲酒で顔がすぐ赤くなる体質の人(アルコールが分解されて出来るアセトアルデヒドを分解する働きが弱いと考えられる)は、飲酒の量が増えると食道がんの発生が顕著に増えることが知られています。食道がんのタイプでは、欧米で多いのは腺がん、日本人に多いのは扁平上皮がんというものです。
歯周病と食道がんの関係を示唆する論文には次のようなものがあります。2004年:日本の国立がんセンターにおける研究。食道がんにおいて、高率に口腔内の歯周病や虫歯に関係した細菌が検出されたと報告。2008年:イランにおける研究で、食道の扁平上皮がんの患者283人および食道がんではない560人について追跡調査を行ったところ、歯の喪失本数と口腔
清掃の習慣の欠如は、食道がんのリスクを2倍以上高めると報告。なお、インドでも2013年に同様の研究結果が報告された。2009年:日本の愛知県がんセンターにおける研究で、5000人のがん患者を含む16000人を対象に、歯の本数とがんのリスクについて調べたところ、頭頸部がん(舌がん、口腔がん、咽頭がん、喉頭がん)と食道がんは、歯の本数と関係があることが明らかになった。21本以上歯がある人を基準とした場合、歯が0本の人は約3倍頭頸部がんのリスクが高まるという結果だった。
2016年:アメリカのLouisville大学と中国のHenan 大学の共同研究。100人の食道の扁平上皮がん患者および、食道がんには罹患していない30人の組織を調べたところ、食道がんの組織には61%と高率で、P. gingivalisという歯周病の原因菌として有力な細菌が検出された。がん組織に隣接した正常な食道組織には12%しか検出されず、食道がんに罹患していない人の食道組織からは、P. gingivalisは全く検出されなかった。
詳しい理由付けは今後の課題ですが、これらの統計学的研究や組織を用いた研究から、歯周病と食道がんには密接な関係が示唆されています。歯周病が食道がんの発生を増加させることは間違いないようですね。毎日の口腔ケアや定期検診によって健康を維持したいものです。
110筆者プロフィール:中出修福井県出身。1985年、北海道医療大学歯学部卒業。1993年、同大で博士号を取得後、講師に就任。2003年、ロマリンダ大学歯学部卒業。歯科医勤務を経
2005年、タコマ近郊に開業。200610月にサウスセンターモール近くに移転。パンパシフィック歯科医院
Panpacific Dentistry411 Strander Blvd. Suite 207, Tukwila, WA 98188 206-575-8180 www.panpacificdentistry.com
歯周病と食道がんの関係
[健康な歯でスマイルライフ]
福井県出身。1985 年、北海道医療大学歯学部卒業。1993年、同大で博士号を取得後、講師に就任。 2003年、ロマリンダ大学歯学部卒業。歯科医勤務を経て2005年、タコマ近郊に開業。2006年10月にサウスセンターモール近くに移転。 パンパシフィック歯科医院 Panpacific Dentistry 411 Strander Blvd. Suite 207, Tukwila, WA 98188 ☎ 253-243-7748