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子どもの睡眠障害と歯科との関わり

 

 

 

最近の研究では、子どもに睡眠障害があると自閉症 (Autism)やADHD (Attention Deficit Hyperactivity Disorder、注意欠如多動性障害)の発生リスクが高まるとの報告があります。歯科と睡眠は一見してあまり関係ないと思われがちですが、噛み合わせや顎位あるいは扁桃腺の過度の肥大は気道の狭窄(きょうさく)と大きく関わっており、睡眠障害に歯科的問題が関わっていることも少なくないのです。今回は、子どもの睡眠障害と歯科との関わりを中心に書いていきたいと思います。

 

子どもの睡眠障害

ある統計によれば、3歳から5歳児の20~50%に睡眠障害を引き起こすような呼吸が見られるとのことです。また米国の医師会は、6〜19歳の子どもを対象に、就寝前にベッドでスマートフォンなどを利用すると睡眠時間が不十分になり、睡眠の品質も低下し、日中眠くなりやすいと警告しています。子どもに睡眠障害があると、自閉症、ADHD、逆流性食道炎、肥満、2型糖尿病、高血圧などの発生リスクが高まることが分かってきており、全身に極めて深刻な悪影響を及ぼすと言っても過言ではありません。

 

子どもの睡眠障害が疑われる症状

①寝付きが悪く夜中や朝方に目が覚める、②イビキをかく、③手足のムズムズ感や突っ張り感がある、④夜中に突然大声で叫ぶ、⑤日中居眠りをしやすい、などの症状がある場合は要注意と言われています。

 

子どもの睡眠障害の原因

1.肥満や扁桃肥大;大人と同様に、睡眠時無呼吸症候群の原因になる

2.親の都合による夜型生活の習慣

3.自閉症やADHD;子どもの睡眠障害が自閉症やADHDの原因になり得るが、逆に自閉症やADHDも子どもの睡眠障害の原因になり得る。

4.過度のストレス

5.アトピーなどのアレルギーが原因のかゆみ

 

子どもの睡眠障害と歯科

われわれ歯科医は、子どもの扁桃腺が過度に肥大していないか歯科来院時に注意深く観察します。歯科医が扁桃腺の過度の肥大(アデノイド)を最初に発見することも少なくないのです。アデノイドが認められた場合は、直ちに耳鼻科に紹介してアデノイドの切除を依頼する必要がありますし、睡眠の専門家や小児科と連携することもあります。また、歯列の狭窄や噛み合わせの異常(不正咬合)などが、気道が狭まり睡眠障害を引き起こす原因となり得ます。このような場合は他科とも連携しながら、矯正治療、歯科的イビキ防止装置の作成などを行います。歯科を受診する際、子どもに睡眠障害の徴候が認められた場合は、その旨を歯科医に伝えるといいでしょう。このような観点から、子どもの定期的な歯科受診は子どもの口腔内のみならず、全身の健康維持のために重要です。

[健康な歯でスマイルライフ]

中出 修
福井県出身。1985 年、北海道医療大学歯学部卒業。1993年、同大で博士号を取得後、講師に就任。 2003年、ロマリンダ大学歯学部卒業。歯科医勤務を経て2005年、タコマ近郊に開業。2006年10月にサウスセンターモール近くに移転。 パンパシフィック歯科医院 Panpacific Dentistry 411 Strander Blvd. Suite 207, Tukwila, WA 98188 ☎ 253-243-7748