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歯周病予防に有効な口腔ケア用品はどれ?〜健康な歯でスマイルライフ

健康な歯でスマイルライフ

日本では北海道医療大学歯学部で博士号を取得。米国でもロマリンダ大学歯学部を卒業し、2005年にPAN-PACIFIC DENTISTRY(パンパシフィック歯科医院)を開業した中出修先生に、アメリカで生活する日本人へ向けて歯や口腔について、説明していただきます。

歯周病予防に有効な口腔ケア用品はどれ?

歯ブラシ、電動歯ブラシ、フロス、歯間ブラシ、ウォーターピック、マウスウォッシュなど、歯周病を予防するための口腔ケア用品はいろいろ挙げられます。しかし、本当に各々の有効性について科学的に証明されているのでしょうか? そんな疑問に答えてくれるような研究が最近発表され、注目を集めています。

ニューヨーク州立大学バッファロー校の研究

ニューヨーク州立大学バッファロー校歯学部による研究(J International Academy of Periodontology 23(4):350-367,2021)で、フランク・スカンナピエコ教授らは、歯周病予防の口腔ケア用品に関して広範囲に文献検索を行い、各々について科学的に証明されているのかを検証しました。結果、手動の歯ブラシ以外で科学的に証明されている口腔ケア用品はひと握りのようです。

1.科学的に歯周病予防の有効性あり

手動の歯ブラシ、歯間ブラシ、ウォーターピック、クロルヘキシジンや塩化セチルピリジニウム(CPC)あるいはエッセンシャルオイル(リステリン等)の入ったマウスウォッシュ

2.科学的に証明されているとは言えない

電動歯ブラシ、フロス、プロバイオティクス(乳酸菌などの補充療法)、サプリメントおよび上記以外のマウスウォッシュ

3.使用に適さないもの

トリクロサン: 歯磨き剤やマウスウォッシュに含まれ、プラークや歯肉炎を減らす効果がわかっているものの、口腔がんの発生や生殖機能に悪影響を及ぼすことが明らかにされ、アメリカでは使用禁止になっている。

結局、何を使えばいい?

この研究結果が全てではありませんが、毎日の口腔ケアに役立てたいですね。以下に考察をまとめましたので、ぜひ参考にしてください。

●電動歯ブラシVS 手動歯ブラシ

多くの研究論文で、電動歯ブラシと手動歯ブラシにおけるプラークの除去率および歯肉の炎症の程度について比較検討していますが、そのほとんどが電動歯ブラシの優位性を認めていません。

●フロスは必要か

今回の研究により、歯間ブラシ、ウォーターピックは、歯周病予防の観点から有効性が認められましたが、フロスに関しては有効性が認められていません。しかしながら、歯と歯の間のプラーク除去において、フロスは極めて有効なツールであり、虫歯予防に効果があると考えられるため、毎日使うべきでしょう。

●マウスウォッシュの選び方

フッ素や過酸化水素水などが成分のマウスウォッシュに関しては、歯周病予防の観点からは有効性は認められなかったものの、クロルヘキシジンや塩化セチルピリジニウム(CPC)、リステリンなどの有効性が認められています。クロルヘキシジンは、歯科医が処方するマウスウォッシュに含まれますが、長期にわたり使用すると歯の着色につながるので注意が必要です。

中出 修
福井県出身。1985 年、北海道医療大学歯学部卒業。1993年、同大で博士号を取得後、講師に就任。 2003年、ロマリンダ大学歯学部卒業。歯科医勤務を経て2005年、タコマ近郊に開業。2006年10月にサウスセンターモール近くに移転。 パンパシフィック歯科医院 Panpacific Dentistry 411 Strander Blvd. Suite 207, Tukwila, WA 98188 ☎ 253-243-7748