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歯科医院でのフッ素塗布は、子どもの虫歯予防に有効?〜健康な歯でスマイルライフ

健康な歯でスマイルライフ

日本では北海道医療大学歯学部で博士号を取得。米国でもロマリンダ大学歯学部を卒業し、2005年にPAN-PACIFIC DENTISTRY(パンパシフィック歯科医院)を開業した中出修先生に、アメリカで生活する日本人へ向けて歯や口腔について、説明していただきます。

歯科医院でのフッ素塗布は、子どもの虫歯予防に有効?

定期的に歯科健診を受けている方なら、歯のクリーニング後に行われるフッ素塗布についてご存じでしょう。特に子どもの虫歯予防に推奨されています。
ただ、フッ素に抵抗がある方も少なくなく、また、皆さんの中には本当に虫歯予防に有効なのかと疑う方もいるかもしれません。そんな疑問に答えるような研究結果が最近出ましたので、詳しく紹介していきたいと思います。
研究の背景
虫歯は子どもに影響を与える最もありふれた疾患のひとつで、WHO(世界保健機関)の報告によれば、学齢期の小児における1本以上の虫歯を持つ割合は60~90%とのことです。一方、フッ素は、口腔内が酸性になって歯のミネラル成分が溶け出す「脱灰」を防ぐ作用が知られ、フッ素の局所塗布は虫歯予防に有効な方法のひとつとされています。
米国の小児歯科学会では、子どもに年2回の歯科でのフッ素塗布を推奨しています。しかしながら、歯科でのフッ素塗布がその後の虫歯治療に及ぼす影響については、これまでほとんどわかっていませんでした。
研究の目的と概要
果たして、フッ素の局所塗布は、その後の虫歯治療を減らしているのでしょうか? 謎を解明すべく、インディアナ大学歯学部により研究が開始されました(JADA 2023,1(2010年1月から2018年12月まで)にわたり大規模に調べたのです。総人数67万2,889人、平均年齢5.3歳、そのうち女児が41%、男児が43%、不明が16%おり、フッ素の局所塗布を受けていた割合は55%でした。
その結果、フッ素の局所塗布を受けていた子どもは、受けていない子どもに比べて、その後の虫歯治療および抜歯の数が統計学的に有意に低く、また、フッ素塗布から虫歯治療あるいは抜歯に至るまでの期間が有意に長いことが判明。歯科におけるフッ素の局所塗布は、その後の治療に至るまでの期間を長くし、将来的な治療を回避できる可能性があることが明らかになりました。
つまり、局所のフッ素塗布は虫歯予防に有効で、総合的に治療費の低減にも貢献すると考えられます。54(10):876-884)。フッ素の局所塗布とその後の虫歯治療、抜歯の有無の関係について、9年間

まとめ

もちろん、毎日のプラークコントロールや食生活の見直しも大切ですが、今回の研究結果から、歯科でのフッ素塗布は虫歯予防に効果ありと言えそうです。アメリカの歯科保険がフッ素塗布をカバーするかどうかは、大人だと保険プランによりますが、11歳以下の場合は大体カバーされますので、ぜひ活用したいものですね。

中出 修
福井県出身。1985 年、北海道医療大学歯学部卒業。1993年、同大で博士号を取得後、講師に就任。 2003年、ロマリンダ大学歯学部卒業。歯科医勤務を経て2005年、タコマ近郊に開業。2006年10月にサウスセンターモール近くに移転。 パンパシフィック歯科医院 Panpacific Dentistry 411 Strander Blvd. Suite 207, Tukwila, WA 98188 ☎ 253-243-7748