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補聴器の長時間装着で聴力の悪化を防ぐ

mimistory-min 補聴器は、手入れをしなくても眼鏡のように使用できると思ったら大間違い。音が突然出なくなったり、変な音がしたりと、素人が簡単に修理できない問題に直面することが多々ある。当院では、補聴器の購入後1カ月の試用期間が終わってそのまま保持することになると、3カ月か4カ月の間隔で来院してもらうようにしている。理由は3つあり、1つ目は掃除をしたりパーツを取り替えて常に新品同様で使用してもらうため、2つ目は補聴器を装着して聞こえにくい環境や音、聞こえて嫌な音などがあれば、患者の意見を聞きながら補聴器を調整するため、3つ目は常に補聴器を使用してもらうようにリマインドするため。どの目的も大事だが、特に3つ目が重要だと思っている。
高価な補聴器を購入したのだから、いつも装着してもらえるだろうと期待するのだが、忙しくてつい忘れたり、補聴器をつけなくてもある程度聞こえているなどと、いろいろな言い訳が返ってくる。中には、一日中装着していると言っているのに、補聴器を設定機に接続すると、補聴器に記録された使用時間は平均で一日1 時間未満だと表示されていたりする。こういう方々は、当院の補聴器ユーザーの3%ほどしかいないのだが、どれだけ長時間の装着が大事だと説いてもそうなってしまう。そのため、3、4 カ月に一度は来院してもらってリマインドをする必要があるのだ。
先週来院された2人の患者さんは、補聴器の掃除とチェックに来られた。どちらも、4カ月検診だった。1人は70代後半の方で、1 人住まいにもかかわらず、毎日昼食から夜寝るまで装着している。補聴器使用歴は3年目で、もう生活の一部になっているとのこと。当院では補聴器使用者に対して、1年か2年に一度、簡単聴力検査をするのだが、この方の検査結果は、2 年前と同じだった。
もう1人の方は50代後半。家族と一緒に暮らしており、週に何度も出張があり、なかなか予約の確認をすることも難しいような、超多忙な生活を送っている方だった。聴力は最初の方よりも悪く、騒々しい場所でビジネスの話をするのは非常に困難なレベルだった。補聴器使用歴は10年以上。補聴器があまり汚れていなかったので尋ねたところ、この4カ月は年度末が近いために忙しくて補聴器を装着していなかったと報告してくれた。簡単聴力検査の結果は、全体的に少しずつ下がっており、特に一方の聴力の一部は大幅に下がっていた。これ以上下がると、内耳の一部がどのようになっていくか、音の聞こえ方がどのように変化するかを再度説明して、定期的に補聴器を装着する重要性を理解してもらった、と願っている。
今までの経験や研究データから、補聴器を装着していると聴力レベルがある程度維持でき、補聴器をあまり装着していないと聴力レベルが下がる傾向にあることが分かっている。たまに補聴器をつけていても、聴力がどんどん落ちるような問題を持っている人もいるが、大半はそうではない。補聴器をつけると、聴力がさらに悪くなるという噂をよく聞くが、それは大間違いであることを知って欲しい。