患者さんたちとお話しするときによく思うことがあります。ケガや痛みがあると、治療に専念したり、痛みがひどくならないように努力したりする方はたくさんいらっしゃいます。でも、まだ痛みやケガがない状態で、それを予防しようとする方は多くありません。普段から体を動かしている方でも、実は脊椎に良くない運動をしている場合もあるようです。そこで今回は、日頃から簡単にでき、なおかつ効果のある予防法について話したいと思います。
まず、朝起きる動作について。ほとんどの方は目が覚めると、仰向けの体勢から上半身をぐっと縦に起こして起き上がります。まだ眠気から覚め切っていない、または体が硬い場合は、「えいっ!」とかけ声と一緒に起き上がる方も。実際、私もこのように起きていました。ところが、これが腰にすごく負担をかけます。ひと晩中寝ていたために体は動きが鈍く、可動範囲も狭いのに、朝いちばんの動作が重たい上半身を一気に持ち上げるのでは、腰にかかる負担は相当なもの。まず起きたら腰や背中などを軽く左右にストレッチさせ、横向きに転がってから、手で体重を支えてゆっくりと起き上がりましょう。
また、何かを持ち上げるとき、靴を履くとき、膝を伸ばした状態だと腰をたくさん曲げないといけません。膝を曲げ、スクワットする要領で物を持ち上げる、靴紐を結ぶときも座ってするのが安全です。ギックリ腰は、出かけるときに靴紐を結んでから一気に起き上がる際になるケースも多くあります。
体操をするときも、柔軟性を上げるために腰を曲げて、手の指を足まで伸ばす運動がありますね。これは、他のストレッチを十分にして体がだいぶ温まった後でやらないと、起き上がった拍子に腰をケガすることがあります。お年寄りの方には、この運動自体、おすすめできません。
最後に、スマートフォンやパソコンを使う際、うつむいた姿勢が多くなりますが、 これも首と肩に相当な負担をかけます。机やテーブルの上に置いたり、椅子を低く調整したりして、背中や目線ができるだけ下がらないようにしましょう。ソファーなどに寝転がってやりがちですが、結果的に脊椎の変質やケガのもとになり得るので注意が必要です。
今回、例に挙げた動作は、一見面倒なようですが、実践してみると案外簡単に行えるものばかりです。姿勢を良くしようとするクセを付けてしまえば、自然と応用できるようになります。
[パク先生カイロプラクティック]