「カイロプラクティックの治療は何回受ければ治りますか? 」
患者さんからよく受ける質問です。通院するための時間やコストを考えると当然の質問ですね。
今回は、この質問に答えると共に、カイロプラクティック治療の原理について簡単に説明したいと思います。
ある男性患者さんのお話を例にしましょう。
彼は「骨盤がゆがんでいる気がする。動きが鈍くてぎこちない。痛みはひどくはないけど、とにかく矯正して欲しい」と言って来院されました。
問診で過去のケガ、最近の活動内容、仕事などを聞いても、これといって骨盤に悪影響をもたらす原因はなさそうです。ところが、骨盤を触診するためにうつ伏せになってもらった時にその原因が分かりました。お尻のポケットに分厚いサイフが入っていたのです。聞いてみたところ、 毎日同じポケットにサイフを入れて仕事中も運転中もそのまま座っているそうです。あまりにも些細なことなので誰も気にしないかもしれませんが、実は医療ジャーナルに、サイフが原因による骨盤のゆがみと後々の痛みや変質に関する論文が発表されているほどです。
とりあえずサイフを出してもらい骨盤を触診したところ、左右のバランスが明らかに違い、そのせいで足の長さも左右でずいぶん違っていました。治療後、骨盤のバランスはだいぶ戻り、足の長さもほとんど元に戻りました。
一度矯正しても、長年ゆがんでいた骨盤は間接の靭帯が片方だけ伸びている可能性があります。また、周辺の筋肉にも偏りがあるため再び骨盤がゆがむことも多いので、引き続いて何度か矯正を受けてもらう事を説明して、ゆがみの解消法や自宅でできる簡単なストレッチを教えました。
一週間後、来院された男性のズボンの後ろのポケットには……。はい、サイフが入っていました。
このような場合、矯正の回数は患者さん自身に左右されます(正確な診断と矯正が行われていることを前提にした場合)。
今回例にあげた患者さんのケースは極端すぎて滑稽にさえ感じられますが、実を言うと、ケガや事故を伴わない痛みの原因はほとんど似たり寄ったりなのです。いつも同じ足を組む、スマートフォンを一日中見下ろす、寝転がってテレビを長時間見る……等々。もちろんこれら以外にも、職場の環境(姿勢や活動内容)、睡眠環境(マットレスや枕)、仕事からくるストレス、個人差など原因はたくさんあるので、似たような治療のケースでも治療期間が長引く場合もあります。
結論を言いますと、カイロプラクティック治療は何回か受ければケガが治ったり、痛みが直接取り除かれるわけではありません。しかし、身体が痛みを発しないように、ゆがんだ脊椎や骨盤、関節を正しく矯正し、ゆがみの原因となりうる日頃の良くない習慣や身体の弱い部分の強化を助ける治療法だと考えてもらえれば良いと思います。
もし身体のゆがみや痛みの原因がわからない、または知りたいという方は、一度検診を受けてみてはいかがでしょうか。
[パク先生カイロプラクティック]