栄養学で若返り!スローエイジング
ゆっくりときれいに年を重ねることを目指す「スローエイジング」という考え方。更年期が気になる大人の女性に向けて栄養学の発展したアメリカ在住だからこそ実践したい、元気で若い体づくりを提案します。
栄養療法(メディカル・ニュートリション・セラピー)とは?
アメリカには、メディカル・ニュートリション・セラピー(MNT:Medical Nutrition Therapy)と呼ばれる栄養療法があります。今回はその手順や効果について詳しく解説します。
保険でカバーできる可能性あり!
MNTは、栄養や食事についてのカウンセリングで病気の予防や症状の改善が期待されるときに施される医療サービスです。提供できるのは資格を持つ米国管理栄養士のみ。メディケアやメディケイドの公的保険だけではなく、個人の健康保険も適用されます。
特に糖尿病や心臓病、腎臓病などの慢性疾患は、食事療法で症状が緩和されることがあり、再診(フォローアップ・セッション)料が制限なくカバーされるケースも。慢性疾患がなくても、自分に合った食事を知り、病気予防に努めたいなどの理由で予防処置と認められれば、保険プランによっては100%カバーできます。この機会に自分の健康を見直し、MNTを受けてみませんか?
対応する機関は?
では、どこでMNTを受けられるのでしょうか? 管理栄養士個人が提供するサービスほか、管理栄養士が従事する病院や医療施設なども利用できます。後者の場合、医師がMNTを必要と判断した場合に直接、管理栄養士にリファーラルと呼ばれる紹介状が渡り、同じ病院でMNTを受けられるため、よりスムーズです。医師の推奨がなくても、栄養カウンセリングが必要だと頼めば、きちんと考慮して紹介状を出してくれるはずです。
今は管理栄養士も個人でオフィスを持つ傾向にあり、医師の紹介状は必ずしも求められません。専門分野も、体重維持やホルモンバランスほか、糖尿病、がん、腎臓疾患と幅広いので、症状や疾患に合う管理栄養士を探し、相談すると良いでしょう。
セッションの流れ
管理栄養士には、事前に問診フォームへの回答を提出します。管理栄養士はセッション前に入念なリサーチをし、適切な栄養アドバイスの準備をしていきますので、この質問にきちんと正確に答えることが効果的なセッション実現への近道です。
セッション自体は、以下のA・D・I・M・Eを基準に進めていきます。
A (Assessment):
現在の食事内容だけではなく、病歴やアレルギー、胃腸疾患、ストレス、睡眠、運動、服用するサプリや処方せん薬の有無などに基づいて評価。そのうえで、どの栄養素や食事療法が適切かを判断していく。
D(Diagnosis):
Aの情報を基に、病気や症状につながっている原因を栄養面から診断する。
I(Intervention):
Dの結果を踏まえて、最も適切で効果的な栄養アドバイスや指導を行う。次回のフォローアップ・セッションまでの目標を立て、目標を達成しやすくするためのさまざまなリソースも提供。
M(Monitoring):
いわゆる経過観察。Iで立てた目標をどう日々達成しているか確認し、サポートする。特に、糖尿病や胃腸疾患、腎臓病などの慢性疾患は、1~3カ月の経過観察が有効。
E(Evaluation):
フォローアップ・セッションで、目標や栄養アドバイスが症状の改善にどう影響したかなどを評価し、必要に応じて調整する。
MNTを受ける際の注意点
日本と違い、アメリカでは保険プランによってカバー内容が異なります。自身が加入する保険プランでMNTがカバーされる条件や適用範囲を確認しましょう。そのセッションが予防処置(Preventative Care)になるのか、必要な医療処置(Medically Necessary Care)になるのかによっても、保険のカバー内容が違ってきます。
また、管理栄養士は国家資格ですが、州によって法律が違うため、州の免許があるかないかでMNTサービスが受けられない場合があります。テレヘルス(リモート診療)を利用し、他州の管理栄養士に相談する場合は、自分の住む州をカバーしているかを確認しましょう。
参考資料