1月9日~12日の4日間、ラスベガスで開催されたコンシューマ・エレクトロニクス分野における世界最大の見本市「CES 2018」に行ってきました。
取材・文:藤田佳予子 取材協力:(株)ENパシフィックサービス
日本企業も多数出展
世界各地から約5万人が訪れる今年の「CES」見本市には、多くの日本企業も参加。中でも人気だったのは、ヤマハ発動機株式会社のブースだ。人を認識して自動走行するAI搭載の二輪車「MOTOROiD」が、ゆっくりと倒れずに走る様子に、たくさんの人々が歓声を上げていた。また、ヒロセ電機株式会社のブースでは、同社が販売するスマートフォン向け基板などを、VRコンテンツを通してわかりやすく説明していて好評を得ていた。
シアトル関連では、アマゾンが提供する音声認識サービス「Alexa」が家電ブースなどを席巻。あちこちに「Works with Amazon Alexa」のロゴが見えた。
子どもや女性向けの画期的なIoT製品
ヘルス&ビューティーの分野にも新風が。「CES2018イノベーションアワード」を受賞した商品では、フランスのKolibree(コリブリー)による「Magik」というモーションセンサー付き電動歯ブラシが目を引いた。スマートフォンを使ったゲーム形式の画面では、きちんと歯を磨けば、ゲームの主人公が「コイン」を集めることができ、子どもでも楽しみながら歯を磨く習慣がつけられる。
また、ワイヤレスで動作する搾乳機も同賞を受賞。搾乳する時間が取れないというお母さんも、このWillowによる「Wearable Breast Pump」なら、胸に下着と一緒に装着したまま動ける。スマートフォンとも連携し、搾乳した時間や母乳の量を記録することも可能だ。
東大発ベンチャー企業も賞を獲得
見事「CES2018ベスト・アクセスビリティー・テック」を受賞したのは日本の会社で、2015年に設立された東大発ベンチャー企業のXenoma株式会社。「e-skin」技術で作られた新時代のウェアラブルで、シャツのように着られる布状の電子回路基板によって身体の伸縮や動きを計測できる。
同社CFOの富取祐香さんによると、ドイツの大学病院で老人科の教授が「認知症患者はリストバンド型のウェアラブルを外してしまうため、患者のヘルスケアデータのモニタリングを服でできたら」とこぼしたのが、商品開発のきっかけになったそう。締め付けのない白の綿生地を使用し、できる限り負荷なく着られることにこだわっている。ドイツのアパレル・ブランド、ヒューゴ・ボスとの提携によりゴルフのトレーニング用シャツも開発中で、2019年春に商品化予定だ。「e-skinは軽くて着心地が 良いことが特長。今回の受賞は、着用者の負荷を最小限にしながら、いつでもどこでも必要な人に必要な情報を伝えられる点が評価された のだと思います」と、富取さんは笑顔で話す。
今回の出展ではリアルタイムにゲームをするデモなども見られ、データを貯めて分析するだけではなく、ゲームを始めエンターテインメント領域へのAIの可能性を感じさせてくれた。