シアトル駐在日誌
アメリカでの仕事や生活には、日本と違った苦労や喜び、発見が多いもの。日本からシアトルに駐在して働く人たちに、そんな日常や裏話をつづってもらうリレー連載。
福田幸治郎(CANYCOM USA, INC.)■福岡県出身。2011年株式会社筑水キャニコム入社。2017年5月よりCANYCOM USAに駐在となる。単身赴任なので、毎日家族とのテレビ電話は欠かさない。
福岡県の筑豊地方という田舎の生まれで、実家は米農家でした。幼い頃から農業機械に親しみを持っていたこともあって、ものづくりに関わる仕事がしたいと神奈川県の大学で機械工学を専攻。卒業後は地元福岡県で草刈作業車や農業用・土木建設用・林業用運搬車、および産業用機械を製造・販売する筑水キャニコムに入社しました。私を面接し、採用を決めてくれた営業部門の面接官が、入社後は上司となって面倒を見てくれるということになり、営業部門への配属が決まりました。
筑水キャニコムは地域に根差し、ものづくりに情熱を注ぐ会社です。現会長が商品に名付けるネーミングがとても特徴的で、商品名の中には「草刈機まさお」「コンクリート砂男」「ブッシュカッタージョージ」など、常にお客さまにインパクトをもたらす名前が付けられています。また福岡にある本社には「ものづくりは演歌だ!」「義理と人情おとどけします」という看板が掲げてあり、このエピソードだけでもとても面白い会社だということがわかっていただけるかと思います。もちろんネーミングだけではなく、メイド・イン・ジャパンならではの品質にも自信を持っています。たとえばアメリカでの商品のひとつである乗用草刈機「CMX2402」は四輪駆動で、坂道や凹凸のある地形でも難なく走行、さらに2メートルの高さの草まで力強く刈ることができます。メンテナンスのしやすさも好評で、たとえば刃の部分はツールを使わずに簡単にお客さま自身で交換できますし、機械全体がトラブルの起きにくい構造になっています。
新婚旅行でフランスに行った以外、海外に出た経験のない私がシアトル駐在員に選ばれたのはとても驚きでした。しかし、現社長が築き上げたCANYCOM USAの駐在を任されたことにはとても感謝しており、たくさんの貴重な経験をすることができています。CANYCOM USAでは年間1,000台以上の機械を販売していますが、その受発注管理のほか、新規顧客の開拓や、現場でのお客さまからの要望を開発部門に正しく伝えることが私の仕事です。このお客さまから寄せられる要望を私たちの会社では「ボヤき」と呼んでいます。そこにはたくさんの商機があるため、このボヤきを隈なく拾ってくることが求められます。しかし、英語力がまだ不十分なのでその任務をしっかり成し遂げることができていません。現在はデモインにある語学学校に通いながら、ネイティブ・スピーカーの同僚と協業しているので、早くひとり立ちをして全ての業務を自分ひとりで担えるようになることが当面の目標です。
単身赴任で来ているので最初は寂しく感じることもありましたが、自分の時間が十分にありますので、英語の勉強のほかにも読書をしたりジムで体づくりをしたり、貴重なこの機会に少しでも自分を高めようと日々頑張っています。こちらに来て食事の大切さを思い知り、料理も覚えました。将来はこれまでやってきたことを生かして営業の立場から、入社の原点である新商品開発業務に携わりたいと考えており、そのために今、ここで学ぶことはたくさんあります。こちらのお客さまはみんなフレンドリーで、顔と名前を覚えてくれると、とてもかわいがってくれるので助かっています。そんなお客さまのボヤきに1日も早く、そして正確に応えるべく、もっと語学力を身に付けて福岡の生産現場に届けていきたいです。