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マルハニチロ株式会社 ウエストワード・シーフーズ 杉浦勇二さん

シアトル駐在日誌

アメリカでの仕事や生活には、日本と違った苦労や喜び、発見が多いもの。日本からシアトルに駐在して働く人たちに、そんな日常や裏話をつづってもらうリレー連載。

杉浦勇二さんベルビューにあるオフィス前にて

私は経理・財務担当として、水産会社のウエストワード・シーフーズにやって来ました。もうひとつのグループ会社で、私の担当先でもあるアリエスカ・シーフーズという会社と共に、アラスカのダッチ・ハーバーという、アンカレッジからさらに飛行機で2時間半ほどの場所にある島に、船から水揚げされた水産物を一次加工する工場をそれぞれ1つずつ所有しています。主な水産物は助宗鱈、カニ類、真鱈などです。助宗鱈からはさまざまな製品を生産しており、卵は「スケコ」と呼ばれるタラコや明太子の原料に、すり身はかまぼこやカニカマの材料になります。そのほかにもフィレやフィッシュミール、魚油といった製品も助宗鱈から生産しております。このダッチ・ハーバーというのがなかなか過酷な場所で、街にはスーパーが2軒とホテルが1軒しかありません。Wi-Fiも3Gがようやく入ったばかりという、まさしく陸の孤島のようなところですが、各工場にそれぞれ常駐する2名の社員がしっかりと、日々生産現場の管理を行っております。私も出張で何度か訪れたことがありますが、普通ではなかなか行くことのできない場所ですので、とても良い経験です。

ダッチハーバー工場の全景過酷な環境に負けない海の男たちがおいしい水産物を食卓に届けてくれる

私の主な仕事は、会社の資金繰りの管理と、損益数値の正確な把握です。資金繰りについては、日々の大きな支払いと収入を把握し、資金がショートしない最適なラインを保つように日単位で管理しています。また当社の数字の大部分を占める工場の損益は原料、副資材、労働者の賃金など、現場で日夜生じるさまざまな要因の影響を受けますが、月々上がってくるレポートをもとに、これらの数値を正確に確認・把握する必要があります。その上で、先の見通しや予算の作成もしていますが、これまでの数値分析や経験則に基づいて的確な予測を立てるスキルが要求されます。苦労も多いですが財務担当の腕の見せどころとして、非常にやりがいを感じます。「正しい数字」というのは、当たり前のようで、実はとても難しいことなのです。そのほかにも銀行へ提出する書類関係、日本からの資材搬入サポート、日本人駐在員の給与管理、日本から工場に派遣される技術者のビザ手続きのサポートなどにも携わっています。

今年3月ネバダ州のレッドロックキャニオンへ家族旅行に出かけた際の記念写真

自宅はレドモンドにあります。9歳の長男と6歳の長女、それに妻の4人で暮らしています。子どもたちの英語力には本当に驚かされます。長男がちょうど小学校1年生に上がる年にこちらへ来たのですが、みるみるうちに力を付け、特に発音と聞き取りの能力は親から見ても驚きというか、うらましいというか……。平日は、レドモンドにある現地校に通い、土曜日はシアトル日本語補習学校で学んでいます。補習校からたっぷり宿題をもらって帰って来る一方で、現地校は自分の好きなことを自由に学んで欲しいという、ともすれば自由過ぎる方針で宿題がほとんどなく、ちょっと心配しています。長男は今どきの子どもらしくテレビゲームが大好きなのですが、せっかく運動しやすい環境に駐在しているのでリトルリーグでの野球や、水泳などの習い事をやらせています。長女も水泳を習っています。私が父の影響で昔からスキーが好きなので、この駐在中に家族でウィスラーにスキー旅行に出かけることを夢見て、今年の冬にはスノコルミーにある日本人用のスキー・スクールに子どもふたりをそろって通わせました。

週末はそんなこんなで子どもたちの習い事や、日用品を買いにコストコなどに買い物に出かけて、あっという間に過ぎ去ってしまいます。子どもたちは日本のお菓子を求めて宇和島屋に行きたがります。今度休暇が取れたら、フロリダのディズニー・ワールド・リゾートやイエローストーン国立公園にも、家族を連れて行ってあげたいですね。

杉浦勇二■東京都出身。2002年、マルハ(現マルハニチロ)株式会社入社。2015年4月より同社北米グループ会社のひとつ、ウエストワード・シーフーズへ財務役として出向、シアトル駐在となる。会社の外で食べるランチも楽しみのひとつ。台湾料理のフェイシング・イースト、インド料理のタージ・パレス、最近では焼肉の牛角がお気に入り。