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失敗から学んで成長する

Aさんは、日本からアメリカに移ってきて2年になる、30代半ばの理系研究職の方です。日本では英語の文献を読むなど、英語を使って仕事をする事もある環境に居ましたが、いわゆる留学や海外で生活した事はなく、今回が人生で初めての経験になります。何かを変えたい、自分を試してみたい、という思いから、日本を出る事にしたそうです。
そんなAさんですが、いざ海外暮らしを始めると色々な事が思ったように進まず、自分自身にがっかりする事も多いと仰います。初めのうちは、環境に慣れて自分もそれなりに努力していけば結果は出せる、と思っていたそうですが、年単位で時間が過ぎるのに対して上達しない英語力や、職場での人間関係、仕事の進め方や日常生活での、日本だったら全く問題ない些細な交渉事が上手くいかない事から、「自分はどんなに努力しても駄目なのかも?」と思うようになりつつあると仰います。
また、Aさんに、物事が上手くいかない時や失敗してしまった時どのように感じるか質問した所、自分が情けなくなる、落ち込む、などネガティブな感情をしばらく引きずってしまう傾向がある事がわかりました。「失敗しても良いレッスンだと思えば良い」といったアドバイスをもらっても、なかなか気持ちの切り替えができないと仰います。
心理学では、物事に取り組む姿勢や努力を褒められて育った人と(「一生懸命頑張ったね!」)、物事に対する結果を褒められて育った人(「テストで100点取れてすごい。頭いいね!」)では、失敗や間違いに対しての向き合い方が大きく異なると言われています。
心理学者キャロル・ドゥエックによると、努力して成長できると思っている人は、結果を出すためのプロセスが「新しい事を学ぶ」事であり、もし失敗しても学習の機会は得られたと判断するので、チャレンジを恐れません。
しかし、結果が全てだと思っている人は、「周囲の評価」が一番大切なため、失敗すると自分の能力の低さを恥じる傾向があります。また、「自分を賢く見せる事」に気持ちがいってしまい、リスクを取れなくなると説明しています。
Aさんにこれらの研究のお話を伝えると、Aさん自ら、どうも自分は結果重視のタイプのようだと分析されました。では、どうすれば良いのでしょうか? 心理テストの結果で○ ○タイプと判明すると、それがある意味その人にレッテルを貼るような気がして私はあんまり好きではありません。心理テストの結果を、次のアクションを決めるデータとして使わなければ意味がないと私は考えています。

Aさんにはどちらのタイプでいたいのかを伺った所、「失敗から学んで成長できる人」と仰いました。今までの人生の思考パターンを変えるのは簡単な作業ではありませんが、Aさんには、プロセス重視で自分を評価するようにしていただきました。自己肯定ができるようになれば、自信をもって行動できるようにもなるでしょう。

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