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性別・文化によるコミュニケーションの違い

Aさんはアメリカ人のご主人をもつ結婚4年目の女性です。毎年この時期になると、Aさんはご主人とホリデーシーズンの過ごし方についてけんかになるとおっしゃいます。ご主人の家族にとっては、この時期は皆が集まるのが当たり前で、毎年他州にある実家に11月と12月の二回帰省するのが結婚以来恒例になっているそうです。Aさんはそれが嫌で、何度も話し合いをしているのですが、うまくできていないと感じるそうです。

Aさんになぜそのように感じるのか伺うと、「話し合った所で、結果は同じ。何も変わらない。夫は私の言い分に聞く耳を持たない」と言います。そこで、Aさんとご主人の主張はどういったものか話して頂きました。

Aさんがご主人にいつも伝える内容は、「なぜ毎年けんかになるのか。話した所で、結局は夫がやりたいようにするんだったら、その時間さえ無駄なのではないか? なんでこちらの希望を聞いてくれないのか? なんでチケット代が最も高い時に、それも1カ月も空けないで帰省する必要があるのか? せめてサンクスギビングとクリスマスのどちらかでも良いのではないか?」などでした。

対して、ご主人の言い分をお伺いした所、「毎回、堂々巡りの話し合いばかりで、結局Aはどうしたいんだ? 自分の家族は、サンクスギビングとクリスマスは皆で集まることになっている。それを何度説明すれば分かってくれるんだ? 僕は、日本人にとってお正月が大きな意味があるのはわかっているし、Aが望むならお正月に日本へ帰省すればいいじゃないか?」という内容がいつものパターンだそうです。Aさんに日本帰国をすすめている事から、ご主人が自己中心的でコントロールしたがりな人、とは言い切れない印象を持ちました。

このご夫婦のコミュニケーションパターンは、典型的な男と女の思考の違いともいえます。男性は問題の解決方法や物事の目的に対して話をするのに対し、女性は原因や感情にフォーカスする傾向があります。Aさんの考えは「何でそうなるの? 何で夫は私の気持ちをわかってくれないのか?」といった内容なのに、ご主人は「僕の希望はこれ。Aはどうしたいの?」と言っているので、話がかみ合わないのです。

日本人のコミュニケーションの特徴として、はっきりと自分の主張をしない(I want ~と言わない)で提案を仮定形や疑問形(I wonder if we can do~、Is it possible~?)のように言っていることがあります。また、女性の気持ちを男性に分かって欲しいのであれば、自分がどのように感じているか伝える(I am sad.など)直接的なコミュニケーションが効果的です。

Aさんの気持ちをご主人に分かってもらうには、「けんかはしたくない。自分の希望を聞いて欲しい。帰省にお金をたくさん使いたくない。サンクスギビングかクリスマスのどちらかの帰省にしたい。そして余裕ができたら、日本への帰国もいつかはしたい。とにかく、今のままのやり方は嫌だ」と言い換える必要があるのです。

ちょっとの違いで、それこそ「何でそんなことも分からないの?」と言いたくなりますが、コミュニケーションスキルの一つとして使いこなせると、違いを感じられると思います。

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