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シアトル日本語補習学校ー時代と共に変わる「補習校」バイリンガルの人材を輩出

シアトル日本語補習学校

日本らしいイベントがいっぱいの幼稚園部1月にはお正月遊びやおもちつき大会を開催

日本に帰国予定の子どもが日本でスムーズに学校の授業になじめるよう日本の教育を提供すべく、1971年に設立されたシアトル日本語補習学校。現在は、帰国予定者と永住者は半々の割合で在籍する。ベルビューにあるサマミッシュ高校の真新しい校舎を借用し、土曜に開校。カフェテリア、2万冊がそろう図書室、養護教諭が常駐する保健室などの設備が整う。シアトル進出日系企業の団体であるシアトル日本商工会(春秋会)が運営母体で、各業界との太いパイプを持ち、日本人アスリートやノーベル賞受賞者、宇宙飛行士、航空技術者などを招いて子どもたちが本物に触れる機会を設けている。

今年度から、幼稚園部、小学1年生では授業を1時間延長し、幼稚園部は昼食指導の時間を新たに設けた。「小学5・6年生にもなると、学力不足から日本語学習を断念してしまうケースも多い。そうなる前に、幼少期から日本語を定着させることが目的」と、説明してくれたのは、中野龍文校長と成田智子園長。バイリンガル教育を進めるうえでの課題は「日本語の定着」と口をそろえる。小学5・6年生では自我が強くなり、サッカーや野球などの自分の興味を優先させたくなるもの。「スポーツも日本語もどちらも大切と親が伝え、子どもたちが理解することが大事。どちらかをやめるのではなく両立できれば、進路の選択の幅が広がります」

日本語も英語も自由に使いこなせるのがバイリンガルと定義するなら、話すだけではなく読み書きも必須。それが、同校が目指す教育であり、子どもたちが日本語をしっかり学ぶことで「夢の実現」が叶うように応援する。たとえば、同校の中学3年生では新聞が読める日本語力を持つという。そのためには「両立のコントロール」が欠かせない。「高校生がいちばん大切だとよく話しているのが、時間のコントロールです。補習校で日本語を学ぶ子どもたちは、誘惑が多い日本の子どもと違って時間を上手に使っている。これは社会人スキルにもつながります」

版を重ね10年以上も使われている同校オリジナルの少額34年生用社会科副読本

常に努力し、成長している補習校の子どもたち。バイリンガルの人材が求められる日本の高校や大学からは、推薦入学の話も少なくなく、引く手あまただそう。「80パーセントは親のサポートにかかっています。辞めていく子どもは宿題がこなせない。子どもはみんな頑張っているので、それを認め、おだててほめる。やる気を出させ、現地校や野外活動との両立をサポートして欲しい。第2の教室は家庭。親が第2の担任です」。具体的に親がサポートできることとしては、宿題のほか読書がある。子どもは基本的に本が好き。「小学3年生までは毎日20分でも読み聞かせをし、小学4年生からは親子で同じ本を読み、理解力を確かめると良いでしょう。小学5・6年生で効果が見えてきます」

来年度の幼稚園部入園はすでに応募が締め切られ、ちょうど 1月末から2月上旬は入園試験中。昨年から受験方法が変わり、面接試験のほか集団行動観察が取り入れられ、日本語の理解力以外に、親離れして集団の中で行動できるか、年齢に応じた成長ぶりも判断される。小学1年生以上のクラスに4月からの新年度に合わせて編入するには、2月1日から申し込みを受け付 けている3月中旬実施の編入試験(筆記試験と面接)に合格する必要がある。

お話をうかがった先生

中野龍文

兵庫県出身。教諭時代にインドネシアのスラバヤ日本人学校に派遣され、帰国後は公立中学校で教頭を3年、小学校で校長を2年経験し、2016 年4月に文部科学省の派遣でシアトル日本語補習学校校長として赴任。

成田智子

日本の高校、ジョージア州とフロリダ州で補習学校の教職経験を経て、2003年より、シアトル日本語補習学校中学高等学部の国語科教員として勤務。2015年から、同校の教務主任、2016年から幼稚部園長、高等学部校長も務める。

学校情報

対象年齢▶▶ 幼稚園年長~高校生
預かり時間▶▶ 土8:45am~1:35pm(幼稚部)/2:25pm(小1)/3:15pm (小2~小6)/3:40pm(中高部)

919 124th Ave. NE., #207, Bellevue, WA 98005(事務所)
☎425-643–1661
office@seajschool.org

 

室橋 美佐
ハイテク関連企業の国際マーケティング職を経て2005年からシアトル在住。2016年にワシントン大学都市計画修士を取得し、2017年から2022年まで北米報知社ゼネラル・マネジャー兼北米報知編集長を務めた。シアトルの都市問題や日系・アジア系アメリカ人コミュニティーの話題を中心に執筆。