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すぎのこ幼稚園・保育園に聞く:アメリカで子どもの日本語教育を続けるにはどうしたら良いでしょうか?

シアトル近郊の専門家たちが、悩み多きバイリンガル子育てについて回答。子どもと楽しむ、子育てのヒント。

 

今回のテーマ
アメリカで子どもの日本語教育を続けるにはどうしたら良いでしょうか?
子どもの遊び心を大切にしながら、「わが家の日本語教育法」を見つけましょう。

アメリカ生活の中で子どもの日本語教育を進めるには、「細く・長く・楽しく」が大前提。日本語教育は一時の頑張りではなく、日々の積み重ねです。特に幼児期のさまざまな経験が、子どものアイデンティティー形成や意欲、自己肯定感にもつながります。「日本が大好き」「日本人であることは誇らしい」という気持ちは、子どもが日本語を学ぶモチベーションとなり、無理なくバイリンガル子育てを続けるコツだと考えます。

子どもに日本を好きになってもらうには、子どもの遊び心を大切にしましょう。当園で実践している例を紹介します。教室では、節分に豆まき、お月見にだんご作りなど、四季折々の日本の伝統行事を体験したり、日本語の早口言葉をラップ調で言い合うアクティビティーを行ったりしています。外遊びでは、缶蹴り鬼、かごめかごめ、だるまさんが転んだ、雨の日にはフルーツバスケットなど、日本の子どもたちになじみのある遊びを取り入れています。

とはいえ、アメリカで生活しているため、日本語より英語を話しがちな子どももいます。その場合、英語を話すことが悪いと認識させるのではなく、モノリンガル(1言語のみ話す人)よりもバイリンガルになることのメリットを話します。また、「大好きなお母さん(または、お父さん)が生まれ育った大事な国の言葉を、せっかくすぎのこにいる間は使おうね」と、叱るよりも励ますことに焦点を合わせています。

日本語を維持して欲しいという思いは、同じ親として十分理解できます。私がアメリカで幼児教育を学び始めた頃の、ある教授の言葉が今も胸に残っています。「アメリカはいろんな国の人々が集結し、生活をしている国で、いろんな文化が入り混じっている。たとえ同じアメリカ人でも、多種多様なバックグラウンドや価値観、習慣がある。家族単位でカルチャーが異なる。各家族がそれぞれの文化を確立することが、これからの時代は必須になる」。みんな持って生まれた性格や得意・不得意分野が違いますよね。同じ日本人でも、家庭によって育児方法や習慣、考えが十人十色あって良いはず。「こうでなければならない」という呪縛をまず解き放ってください。

次に、本来子どもが持っている「知りたがる本能」をうまく活用しましょう。「ポケモンが好き」という子どもにポケモン図鑑を与えると、自然とカタカナを読めるようになっています。私も8歳から15歳までアメリカで過ごしましたが、日本の少女漫画が大好きで、漫画をたくさん読んで日本語を維持していました。時には自分で漫画を描いて、姉とお互い見せ合うなど、とにかく日本的なものに夢中でした。娘は大好きな「サザエさん」から日本の伝統行事を教わりました(笑)。家族の誕生日には、日本語で1年の抱負を言うことも、わが家のしきたりとなっています。

日本語のレシピを見ながら日本食を一緒に作る、お正月のかるた大会、日本語のしりとりや人生ゲーム、親子で日本語の交換日記など。子どもの興味や楽しい工夫を利用して、家庭のニーズやカラーに合った「〇〇家の日本語教育法」をぜひ見つけてみてください。子どもの日本語向上と共に、家族仲も深まること間違いなし。一石二鳥ですね。子育てに正解不正解はありません。胸を張って「これがわが家のスタイル!」と、楽しんでください。

 

教えてくれたのは

すぎのこ幼稚園・保育園
鹿取しおんさん
すぎのこ幼稚園・保育園創立メンバーのひとり。自身の帰国子女経験を生かし、アメリカの幼児教育機関で約27年の経験を持つ。バイリンガルの一男一女を育てる母でもある。まるで日本の幼稚園にいるかのような雰囲気づくりを心がけながら、日本の流行や行事を取り入れ、子どもたちが協調性や国際人らしい自己主張の仕方を身に付けられるようサポートする。

Suginoko School
幼稚園:11431 NE. 20th St., Bellevue, WA 98004
☎425-401-8839
保育園:11501 NE. 20th St., Bellevue, WA 98004
☎425-462-5426
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