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おひさま学習幼稚園に聞く:バイリンガル環境でSTEAM教育を取り入れることも可能?

シアトル近郊の専門家たちが、悩み多きバイリンガル子育てについて回答。子どもと楽しむ、子育てのヒント。

 

今回のテーマ

Q. STEAM教育に興味があります。バイリンガル環境で取り入れることも可能でしょうか?

A. 子どもの年齢問わず、才能や創造力を伸ばすためにぜひ習慣として取り入れてください。さまざまな分野の日本語の語彙を習得できるので、バイリンガル教育にもぴったりです。

STEM(ステム)とは、科学(Science)・技術(Technology)・工学(Engineering)・数学(Math)のそれぞれの頭文字を取った言葉です。小さいうちからロボットや IT の魅力に触れ、「自分で学ぶ力」「考える力」を養う21 世紀型の新しい教育法として2000年代に米国から始まり、近年は世界各国で導入され始めています。単に科学やITなどの分野で秀でた人材を生み出すことだけが目的ではなく、「自ら学び、自分で理解していく子ども」を育て、自発性、創造性、判断力、問題解決力を養うのが狙いです。そうした力を付けておけば、やがて独自の創造性(クリエイティビティー)を発揮することにもつながります。STEAM(スティーム)教育は、さらに芸術(Art)を加えたものです。STEAM 教育も芸術の本質である「何を美しいと思うのか?」「何が幸せなのか?」といった哲学をテクノロジーと融合させることが本質とされています。

当園でも、このSTEAM教育をカリキュラムに取り入れています。活動のコンセプトは、「自ら考え、学び、理解し、創造できる力を養う」です。子どもたちは予想を立て、その考えを実験して試したり、試行錯誤しながら解決策に導いたりします。年齢に応じた範囲で、結果をまとめ、検証することも各活動に加えています。「何をするか」ではなく、「そこから何を学ぶか」に焦点を当て、順を追って考える練習をします。STEAM教育は、日本語学習にも役立ちます。STEAM的な発想や予想を立てる際に、また自分の思考を言葉でまとめる機会に新しい語彙を学ぶことも増え、語彙力アップにつながります。

このような力は、どの年齢でも身に付けたいスキルです。日常的に、問題提起、解決への糸口を見つける、思考する力が備わっている子どもは、社会に出てからも自分の道を自ら見つけて前進していくことができます。近年は「ゼロから一を生み出す」力が求められる傾向にありますが、STEAMはまさにその「生み出す力」を育てる教育です。同じ条件下で自分に必要で有益な情報をより多く読み取るためには、思考力と「視る目」が大切。常にアンテナを張り、思考することで、子どもたちはさらに飛躍し、成長することができるのです。また、自分の考えや予想がチームと全く違ったものだった場合もあるでしょう。そんなときは新しい考えを受け入れる度量が求められます。いいアイデアでもいったんゼロ視点に戻し、相手の意見も尊重する「柔軟な思考力」は、創造力を飛躍させるトランポリンになります。

子どもの成長は、ひとりひとり個性や環境によって時期が異なります。栄養を蓄える時期、一気に伸びる時期はさまざまです。芽が出始めた子どもたちが、大きく成長し、才能を伸ばすために、楽しんで「視る目」を養えるように、環境を整えてあげると良いと思います。家でできるSTEAMプロジェクトを紹介しましょう。

●コピー用紙で、1パウンド(約450グラム)を支えよう!

必要なもの:コピー用紙、1パウンドの目方のもの

ルール:紙はコピー用紙を使用。3回まで折って良い。丸めるのは1回に数えない。のり、はさみ、テープなどは使わない。載せたものは、テーブルから離れていること、30秒以上崩れないこと。

上手に折ると、20パウンド(約9キログラム)でも支えることができます。折り方、載せ方、いろいろ考えながら、ぜひおうちでもチャレンジしてみてくださいね。

教えてくれたのは

おひさま学習幼稚園
アレン聡子さん

おひさま学習幼稚園にて10年以上、幼児教育や日本語教育に携わる。数年前からはSTEAM教育を取り入れ、子どもの思考力や、創造力を育てるカリキュラムを導入している。大学では日本文化を専攻し、塾で日本語指導を経験、作文講師の資格も所有。日本語の面白さ、言葉の美しさなどを子どもたちに伝えることを大切にしている。


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