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Black Lives Matter関連の翻訳に挑戦 〜技あり! 機械翻訳達人への道

機械翻訳の精度は飛躍的に向上。でも、よく読むと「あれれ?」な部分も。ちょっとしたコツで見違えるほど自然な日本語に直せる技を紹介します。

【今回の例文】

This month’s Black Lives Matter Year of Purpose Principle is Transgender Affirming. Transgender affirming is the commitment to continue to make space for our trans siblings by encouraging leadership and recognizing trans-antagonistic violence, while doing the work required to dismantle cisgender privilege and uplift Black trans folk.

(参照:BLM AT SCHOOL “13 Guiding Principle”)

【機械翻訳】

今月のブラック・ライブズ・マターの目的年原則は、「トランスジェンダー・アファメーション」です。トランスジェンダーの肯定とは、リーダーシップを奨励し、トランス拮抗的な暴力を認識することによって、トランスの兄弟のためのスペースを作り続けることであり、同時にシスジェンダーの特権を解体し、黒人トランスフォークを高揚させるために必要な仕事をすることです。

(DeepL翻訳)

【修正後】

今月に紹介するBLM(ブラック・ライブズ・マター)推進年間の基本原則は、「トランスジェンダーの肯定」です。これは、社会にトランスジェンダーの人たちの居場所を確保し続けると約束することを意味します。そのためには、トランスジェンダーに向けられた暴力の存在を認識すると共に、シスジェンダー(心と体の性が一致している人)が当然のように持つ特権を見直し、あるいは手放し、「ブラック・トランスジェンダー」の人たちの活動を応援していくことが必要です。


BLMは、日本人には歴史的になじみがなく、日本語の定訳も少ない、非常に訳しづらいトピックのひとつです。とはいえ、今後も避けて通れない世界的なムーブメントですので、理解を深めていくことが求められるでしょう。

今回のポイント

Black Lives Matterはどう訳す?

これはまだ日本語の定訳がありません。「黒人の命は大切」と訳してしまうと、本来の意味が伝わりづらくなります。現状では、英語のままが無難かもしれません。BLMと略して、固有名詞のように扱うこともできるでしょう。

結論は先に伝える

機械翻訳の例では、「トランスジェンダーの肯定とは何か」の結論となる「the commitment to continue to make space for our trans siblings」の部分が埋もれてしまっています。英語では主語の次に述語(結論)がありますので、日本語訳もできるだけ主語と述語を離さないようにしましょう。

意味を補足する

「トランスジェンダー」は日本語としても定着してきましたが、「シスジェンダー」はどうでしょう? 「特権を解体」とは? 修正後の訳では、日本人の読み手が理解できるように補足を入れています。

まとめ

今回の例文は、BLMにジェンダー問題が加わり、二重の難しさとなりました。全体的に抽象的で、そのまま訳しても意味が通じません。こういう場合は、許す範囲で補足を入れたほうが親切です。その際、まずは自分が原文の意味をくみ取れるように、しっかり読み込むことが重要です。

keiko schlegel
フリーランス翻訳家・通訳。外務省派遣員として、92年から95年まで在シアトル日本国総領事館に勤務。日本へ帰国後は、政党本部や米国大使館で外交政策の調査やスピーチ原稿の執筆を担当。キヤノン元社長の個人秘書、国連大学のプログラム・アシスタントなどを経て、フリーに転身。2014年からシアトルへ戻り、一人娘を育てながら、 ITや文芸、エンタメ系を始めとする幅広い分野の翻訳を手がける。主な共訳書は、金持ち父さんのアドバイザーシリーズ『資産はタックスフリーで作る』など。ワシントン州のほか、マサチューセッツ、ジョージア、ニューヨーク、インディアナ、フロリダに居住し、米国社会に精通。趣味はテニス、スキー、映画鑑賞、読書、料理。