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ワシントン大学と東北大学が教育連携「アカデミック・オープン・スペース」

 

山田洋一郎総領事 左と東北大学の山口昌弘教授右

第2回となるワシントン大学と東北大学によるワークショップが、11月15日から3日間にわたりワシントン大学シアトル校で開催されました。世界でも稀に見る産学官コラボレーションに期待がかかります。

取材・文:小林真依子 写真:ダン・クニーン

東北大学からの一行がワシントン大学との教育連携のためにシアトルを訪れた。最終日の11月17日には総領事公邸にてレセプションが行われ、両大学の教授やシアトル日本商工会、ワシントン州商務省などから関係者が集まった。

両大学の教育連携するワークショップはアカデミック・オープン・スペース(AOS)と呼ばれ、航空、宇宙、ロボティクス、自然災害といったサイ エンス各分野での共同研究や学生の相互交流を目的とする。宮城県仙台市にメインキャンパスを持つ東北大学は、高い航空宇宙工学研究で知られる。ワシントン州にはボーイングの工場があり、三菱航空機(MRJ)もエンジニアリング・センターを置くなど航空宇宙工学研究に恵まれた土地柄である。またマイクロソフトやアマゾンに代表されるテクノロジー関連企業も多く、ワシントン大学のコンピューター・サイエンス教育についても高く評価されている。

ワシントン大学シビルエンバイロメンタルエンジニアリングのグレッグミラー教授

「ワシントン大学と東北大学の連携例は日本で初、また世界でも稀に見る、企業、コミュニティーを巻き込んだ産学官コラボレーションです」と、東北大学副理事で同大学院理学研究科・物理学専攻の山口昌弘教授は語る。山口教授は同大学の国際交流も担当し、過去にも海外大学とのパートナーシップや交換留学制度などに尽力。2014年に日本の文部科学省が創設した、世界レベルの教育研究を行う大学を支援するための「スーパーグローバル大学創成支援」の一環だ。各大学が世界の名立たる教育機関と提携しながらも、実際に機能しているものはごく一部という。東北大学がワシントン大学を選んだのも、規模の大きさや研究分野での共通点の多さにあった。

チームを率いる東北大学大学院工学研究科工学部・航空宇宙工学専攻の岡部朋永教授は「無事にワークショップが終わってほっとしています。まずは10年を目標に続けていけたらと考えています」とコメントし、今後も東北大学の研究生がシアトルを訪れることになりそうだ。

今回の講義は次世代航空機や地震災害時の津波についての内容が中心。ワシントン大学と大学院から関連学科の生徒や教授が受講し、地元企業からは航空機繊維を開発製造する東レ・コンポジット・マテリアルズ・アメリカも参加した。優れた研究レベルを目指しながら、両大学がどのように地域社会に影響を与えていくのか。次回は来春に開講予定だ。