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大自然を満喫 アラスカの旅 ~春が来た、旅に出よう!~

デナリ国立公園/シャトルバスツアー中に見つけたトナカイの角
デナリ国立公園/シャトルバスツアー中に見つけたトナカイの角

星野道夫の世界に惹かれてアラスカへ

アラスカを旅行するにあたって、3人でキャンピングカー(RV)を借りました。アラスカにはRVパークやキャンプグラウンドが多いので、行く先々で宿泊施設を探す手間が省けるし、コストが安く済むという点でもRVは正解でした。天候に合わせて自分たちで自由に予定を決められるのも大きなポイントです。RV には食器類、調理器具、タオル、シーツ等、最低必要なものは備えられています。オプションで炊飯器等を借りることも出来ました。慣れないうちはRV の生活水・電気・ガスを保つことや排水作業が大変かもしれません。排水作業では、持参したゴム手袋が重宝しました。

買い出しはアンカレッジで( 8月30日・31日)
シアトル・タコマ国際空港からアンカレッジへは飛行機で約4時間。ダウンタウンにはレストランやバーが充実していました。たまたま、ふらりと入ったレストラン(SnowGoose Restaurant & Brewery* ① ) の地ビールとトナカイ・バーガーが絶品で、店内から見える海の眺めも最高。お気に入りの場所になり旅行中に何度も訪れた店です。アラスカ州はワシントン州と違って消費税がかからないので、ショッピングモールやお土産屋では存分に買い物を楽しめます。街角の可愛い雑貨屋(Flypaper* ②)では、ヘラジカのメモパッドなどアラスカならではのグッズを売っていました。比較的小さな街なので、ダウンタウンの散策には一日あれば十分。宿泊したユースホステル(Spenard* ③)はダウンタウン、空港から近く、多国籍のバックパッカーたちから旅の話を聞いたり、ホステルの猫たちに癒されたりと、短い滞在でしたがとても良い思い出になりました。また、ダウンタウン近くに日本食を扱うスーパー(New Sagaya City Market*④)があったので、ここで旅の食料をまとめ買い。フェアバンクスまでは食料品を豊富に取り揃えた店がないので、皆アンカレッジ周辺で買い溜めをするようです。
アンカレッジを出発すると、景色はあっという間に大自然へと一変。実際に見るアラスカの自然は想像以上の美しさで、どこまでも広がる紅葉にただただ圧倒されました。一番衝撃を受けたのは路上で出会った野生のヘラジカの大きさ。ヘラジカは可愛いという私のイメージが一掃されてしまいました。こうして自然の中をゆったりとした時間を過ごしながら、デナリ国立公園を目指しました。

*① Snow Goose Restaurant & Brewery(717 W.3rd Ave., Anchorage, AK 99501)☎ 907-277-7727
*② Flypaper(341 E. Benson Blvd., Anchorage, AK 99503)☎ 907-276-6095
*③ Spenard(2845 W. 42nd Ave., Anchorage, AK 99517)☎ 907-248-5036
*④ New Sagaya City Market(900 W. 13th Ave.,Anchorage, AK 99501)☎ 907-274-6173

大自然の醍醐味 デナリ国立公園(9月1日〜4日)

デナリ国立公園/ワンダーレイク周辺
デナリ国立公園/ワンダーレイク周辺

アンカレッジから北上し、アラスカで最も有名な国立公園の一つ、デナリ国立公園へ。面積は日本の四国ほどで、雨が多いため運よく晴れていれば至近距離からマッキンリー山(デナリ)を見ることができると聞いて楽しみにしていた場所です。広大な公園を満喫するために、3泊することにしました* ①。ここで
は防水仕様のマウンテンパーカーが活躍しました。
到着した翌日、Wilderness Access Centerで天気予報をチェック。できるだけ降水確率の低い日を選び、デナリが見えるというワンダーレイク行きのシャトルバス*②を予約しました。ちょうど秋から冬の変わり目で、バスが進むにつれて変化する雪景色から目が離せませんでした。アイルソンビジターセンターから見える雪山の壮大なパノラマは、どこから写真を撮っても絵になります。曇り空だったため、残念ながら終点のワンダーレイクからはデナリを見ることはできませんでしたが、この季節ならではの景色をたっぷり楽しむことができました。帰路は、間近でクマやヘラジカ、トナカイなど様々な野生動物との遭遇を満喫しました。

ワンダーレイク周辺/雌のヘラジカと自然
ワンダーレイク周辺/雌のヘラジカと自然

のんびりと過ごしたデナリ国立公園を離れ、次はフェアバンクス。移動は車で何時間にも及び、小さな町はいくつかあるものの、基本は大自然が続きます。途中でひなびたカフェに立ち寄ったり、休憩がてら車を停めて自然の中を散歩してみたりと、長い道中をいかに楽しむかもアラスカ旅行の醍醐味です。

*① 公園内には手ごろな料金の宿泊施設はなく、バックカントリー(園内でのテント泊)は素人には危険なので、公園施設周辺のキャンプ場またはRVパークで宿泊するのが賢明
*② デナリ国立公園シャトルバス情報(要事前予約)
アイルソンビジターセンター行(所要時間約8時間)
1日6本(繁忙期) 大人$31.50~
ワンダーレイク行(所要時間約11時間)
1日6本(繁忙期) 大人$43.25~
※15~17歳は割引有、14歳以下は無料
www.reservedenali.com

フェアバンクスでオーロラ鑑賞(9月4日〜7日)

フェアバンクスのキャンプ場にて
フェアバンクスのキャンプ場にて

アンカレッジを出発して5日目、最終目的地のフェアバンクスまでやってきました。
フェアバンクスはオーロラ観測ができる場所として有名ですが、街には氷の彫刻博物館、クリマーズ・フィールド、パイオニア・パークなど数多くの観光スポットも点在しています。
すべて見て回るには、とても一日では足りませんでした。なかでもアラスカ大学の博物館* ①の星野道夫さんに関する展示には、多くの日本人が足を止めていました。私も、現地の人が星野さんをどのように捉えていたのかを、興味を持って鑑賞することができました。
他にもネイティブアメリカンの暮らしや、自然動物の生態、捕虜として収容されていた日本人に関する資料などが展示され、星野さんファンでなくても楽しめる場所です。
観光の後は、トナカイのテンダーロインステーキとヘラジカのミートローフを食べに、ダウンタウン郊外のレストラン(The Pump HouseRestaurant & Saloon*②)へ。少し高級でしたが、味は予想を上回り、とてもジューシー!
夜はフェアバンクスから郊外へのオーロラ観測のツアーがいくつか出ていましたが、運が良ければダウンタウンからでもオーロラを観ることができるそうです。私たちが宿泊した
キャンプ地からも、夜中の1時、2時頃になると空を覆う緑色のオーロラが観測できました。
翌日は、ダウンタウンから東にあるチェナ温泉が目的地。エンジェルロックス(AngelRocks Trailhead * ③)というトレッキングスポットに立ち寄り、ハイキングへ。1時間ほど登ったところで最初のエンジェルロックに着きます。歩きやすく、絶景スポットまでそれほど遠くないので子どもや犬連れのハイカーにもよく会いました。その場で昼食をとり、午後はチェナ温泉へ。温泉以外にも、犬ぞりや遊覧観光などのアクティビティが充実していて一日中楽しめそうでした。遊覧観光は小型飛行機で1時間ほどのビーバー村というところまで行くそうです。そこは、かつてフランク安田さんという日本人が築いた村で、新田次郎著の『アラスカ物語』という小説にもなっているとかで、訪れる前にチェックしておけばよかったと後悔しました。
フェアバンクスからの帰路、車を停めて休憩していた時です。景色をぼーっと眺めていると突然、雲の隙間から他の山より頭一つ突き抜けた勇壮な山が顔を出しました。「デナリだ!」という他の旅人の声。旅の最後にようやく姿を現したデナリを目の当たりにして、私は感動に包まれていました。

シャトルバスツアー中に公園内で遭遇したクマ
シャトルバスツアー中に公園内で遭遇したクマ

*① University of Alaska Museum of the North(907 Yukon Dr Fairbanks, Alaska 99709)☎ 907-474-7505
*② The Pump House Restaurant & Saloon(796 Chena Pump Rd., Fairbanks, AK 99709) ☎ 907-479-8452
*③ Angel Rocks Trailhead(Chena Hot Spring Rd. 沿い。フェアバンクス~チェナ温泉へは一本道で、約49マイル進んだところ)

今回の旅にかかった費用(1人)

航空券:$400
RV レンタル:$400($1,200 ÷ 3 人)
宿泊:$150(RV パーク代、ホステル2 泊分)
食費:$330(11 日分)
雑費:$150(デナリ国立公園内ツアー代金、コインランドリー、お土産等)

合計: 約$1,400 ~ 1,500

(文・写真:光武千穂)