食欲の秋、シアトルで注目されているグルメは、日本人におなじみの“弁当”。シアトル周辺で手に入る季節の食材を使った、「作る弁当」「買う弁当」を楽しんでみませんか?
取材・文:室橋美佐、ハントシンガー典子、ハーモニー・ケリー
┃「旬」と「地」を大切に、 たくさんのおいしさを詰め込んだ弁当を
小さな箱にご飯や色とりどりのおかずがぎっしりと詰まった弁当は、目にも美しく、楽しいもの。日本の弁当は今、「ヘルシー」「カワイイ」とアメリカでも注目を集めている。シアトルにある日本食レストランでは、ランチの定食として提供するだけでなく、最近は持ち帰り専用の商品を用意する店もある。
「日本の弁当は、食事を持ち運ぶ利便性に、和食の美意識が重なって独自に発達してきまし た。ジャポニカ米が冷めてもおいしく、持ち運びに便利だったことも背景にあります」と話すのは、PCCコミュニティー・マーケットなどで 弁当の料理教室を開く小泉佳奈子さん。ご飯を笹などに包んで持ち運んだにぎり飯から、やがて和食の一汁三菜のコンセプトが重なり、歌舞伎の幕間に出されるおかず盛りだくさんの幕の内弁当などが生み出されてきた。
佳奈子さんの料理教室には、日本人以外の生徒が多く集まる。「小さな箱にたくさんのおかずがきれいに詰まっているのが、アメリカ人の方には目新しいのだと思います」
弁当に欠かせないコンセプトが「旬」と「地」。 シアトル周辺では、秋の食材として日本でおなじみのカボチャやナスもワシントン州産のものが簡単に手に入る。「これから冬になると活躍する大根や白菜も、シアトルでは、ワシントン州産のものが入手可能ですよ」と佳奈子さん。私たち日本人の食文化になくてはならない弁当を、シアトルの旬と地を取り入れながら楽しみたい。
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