日本料理店が続々と出店するキャピトルヒルに7月27日、鮨バー「粋ナ鮨」がオープン。この界隈で本格的な寿司バーは初めてとあって、連日客が押し寄せている。オーナーの二階堂信介さんに話を聞いた。
取材・文:越宮照代 写真:井上昌子
ホットドッグから寿司へ
二階堂さんは、日本にいる頃からさまざまな新ビジネスのアイデアを実現してきた年季の入ったビジネスマンだ。本職は不動産屋さん。アメリカでは任天堂アメリカの荒川実社長のすすめで初期エンターテインメントセンター立ち上げにモニター店として参加、アメリカでゲームボーイの最初の一台をベルビュースクエアー店で販売するなど、初期の任天堂販売に小売業として活躍。その後、ダイソー本社矢野社長の許可のもと、アメリカで初めてダイソー商品販売店を展開。そして最近では、日本風味のホットドッグをシアトルに導入しシアトルっ子の胃袋を満足させた「Gourmet Dog Japon」を展開している。ダウンタウン、キャピトルヒルのあちこちで、あかべこ(赤い牛)トレードマークのホットドッグスタンドを見たことがある人は多いだろう。
「グルメドックジャポンはそれなりに面白いビジネスですが、新ビル建設でこれまでのスポットが使えなくなり、痛手を受けました」と言い、固定した店を持たない弱みを痛感したのが「粋ナ鮨」開店にいたった理由の一つだと語ってくれた。最初はこの場所でホットドッグを売ることも考えたが、立地、高家賃を考慮し、いろいろな人のアドバイスを受けて、鮨バーに決定した。現在手がけているのは、鮨バー、ホットドッグ、寿司ブリトー(SushiBurrito)の3つのビジネスだ。
「粋ナ鮨」開店に向けては、寿司バーとしてのクオリティーを保つために、すぐれた鮨職人、キッチン職人、サーバ―を選定の上確保。
品質のよい食材の仕入れはもちろんのこと、調度を日本から取り寄せたりと、店のインテリアにもこだわり、センスのいい「粋な」日本的レストランを作り上げた。「例えばあれも、東京の合羽橋で特注してきたんです」と棚の上の大型の寿司下駄を指差した。店の外壁は土蔵造りを連想させる黒字に白の斜め格子のデザイン、店のサインは行灯と、中に入る前から日本の雰囲気が味わえるのが心憎い。
手ごろな値段のランチメニューは大人気
この日はランチタイムに訪問。ランチメニューといえど、各種弁当、寿司ロール、寿司と刺身、どんぶり、麺類(焼きそば、鍋焼きうどん、ざるそばなど)、寿司ロール、カレー、すき焼きなど種類が豊富。夏に鍋焼きうどんがあるのには驚いたが、アメリカ人に人気なのだそうだ。
いくつか試食させてもらった。まずおすすめの寿司弁当(Sushi Lunch Box)。マグロ、サーモン、炙りビンチョウマグロ の3種のニギリ、刺身4切れ、ご飯、味噌汁、サラダ付き。寿司ネタは大きく、脂がのって旨い! もう一品弁当メニューから、アメリカ人に人気の天ぷら弁当。エビ2尾、シイタケ、サツマイモ、カボチャの天ぷらに、巻き寿司4切れ、ご飯、味噌汁、サラダが付いている。天ぷらはどれも衣が薄くてサクサクで、身はふっくらと柔らかく、食材の旨みが包み込まれている。これらを含め、10種類ある弁当はいずれも10ドル、3種類のカレー各10ドル、どんぶり、麺類が9ドルと懐に優しい値段だ。
この日のスポットライトを浴びたのが、ランチちらし寿司(Lunch Chirashi $11)。アマエビの頭の天ぷら、ハマチ、サーモン、ビンチョウマグロ、ホタテ、シマアジ、ホタルイカ、タマゴ焼きという豪華な具が寿司飯を覆い隠し、ワカメ、桜デンブ、カンピョウ、タクアンが添えられ、彩りも美しい。酸味の利いた酢飯と刺身を一緒にいただくと、至福の境地。「この味が、いまやアメリカ人にもわかるんだなあ」と思うと、少々複雑な心境だった。
通常アメリカのレストランは1人では入りにくいものだが、同店にはカウンター式テーブルがあり、ぶらりと気軽に入れる雰囲気が嬉しい。
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Ikinasushi
住所: | 918 E. Pike St., Seattle, WA 98122 |
電話番号: | ☎ 206-453-4441 |
営業時間: | 月~木 11am ~ 2:30pm、5pm ~ 10pm、 金 11am ~ 2:30pm、5pm ~ 11pm 土 12pm ~ 2:30pm、5pm ~ 11pm 日 休み ハッピーアワー5pm ~ 6pm |