2月20日、在シアトル総領事公邸で「日本酒テイスティング会」が開かれた。
全米でもシアトルは日本酒への認知度が高い地ではないだろうか。とは言え、まだ「Sake」という言葉は知っていても実際に飲んだことのある人は少ないだろうし、ましてワインやビールのように、どこのレストランでも気軽に飲める、というところまではいっていない。
今回のイベントは、そんなシアトルにもっと日本酒を広めようという目的で、日本酒造組合中央会と総領事館が共催したものだ。日本からは新潟、埼玉、愛知、岐阜、京都、福岡から12社の蔵元15人が参加。「これほど多くの蔵元が、シアトルで一堂に集結するのは初めてではないでしょうか」と関係者は語っている。
約80名の地元招待客のうちほとんどが、レストラン関係者だ。
大村総領事、日本酒造組合中央会の増田徳兵衛氏の挨拶に続いて、同会の濱田由紀夫さん、シーダー・リバー・ブルワリー・カンパニーの宮城幸子さんによる「日本酒101」と題したセミナーが英語で行われ、来場者は熱心に耳を傾けていた。おちょこの種類、熱燗といった呼び名など、知って楽しい雑学が含まれて、会場からはしばしば笑い声も。日本人であってもへえ、と思うことがたくさんあり、日本酒の知識が深くなったように思う。
セミナーの後はお待ちかねの試飲会。ずらりと並んだ銘酒のブースにグラスを手にした人々の行列ができた。会場には、日本酒と共に総領事おかかえシェフによる料理も並ぶ。
ローストビーフ、シュリンプカクテル、チキン、フルーツやチーズなど、一見するとワインに合いそうなものばかり。しかし、これは、アメリカの家庭で手軽に用意できて日本酒に合わせやすい料理を用意したのだそうだ。たしかにどれもお酒によく合う。中でもフルーツとの相性の良さは意外な発見だった。特に、ラズベリー、キウイと日本酒は悪くない組み合わせだ。
参加者からは「良いお酒が見つかった」という喜びの声を多く聞いた。シアトルのレストランで普通に日本酒が飲める、そんな日が来るのも遠くないかもしれない。
取材・文・写真:山田百合菜