シアトルの日系レストラン情報
*情報更新 2020年1月現在、居酒屋「スイカ・シアトル」は閉店しています。継承店の「ロンド(Rondo japanese (rondojapanesekitchen.com))」姉妹店の「タマリバ―(http://www.tamaribarseattle.com)」は営業しています。
おしゃれなバーやレストランが立ち並ぶキャピトルヒルに、昨年 12 月半ばにオープンしたばかりの居酒屋すいかを訪ねた。 懐かしの日本を感じる、遊び心満載の店内
「いらっしゃいませ」という元気のいい挨拶に迎えられ、まず目を奪われるのが中央の大きなシャンデリアだ。88 本もの焼酎の空きボトルで作られた、世界でひとつのオリジナルであり、同店のシンボルともいえる存在となっている。その奥では、築年数およそ 100 年という建物をそのまま活かした赤レンガの壁が独特の重厚感を醸し出している。シックな店内をさらに見回すと、色とりどりのファミコンのカセットやガンダムのフィギュア、アンティークな神棚や年代ものの着物などがセンス良く飾られており、どこを向いても懐かしい日本を思い出させてくれる内装で、作り手の思いが伝わってくるようだ。
同店はバンクーバーやトロントで人気の居酒屋の姉妹店で、シアトルはアメリカ第一号店になる。プロデューサーの木本真さんは専門学校やホテルなどで接客業や飲食業の経験を積み、念願の自身の店をオープンさせるに至った。開業にあたり、バンクーバー店の社長である田丸実さんから「普通の店ならやるな」と言われたというだけあって、店内はどこを見ても、マネージャーの寺尾観さんと一緒に凝らした工夫や遊び心でいっぱいだ。日本で撮られた写真を背景にした品書きに並んでいるのはユーモアたっぷりのメニュー名ばかりで、思わずクスッと笑ってしまいそうだ。木本さんが毛筆で一枚一枚手書きしているスペシャルメニューや貼紙も必見。窓に貼られたイラストつきメニューを見て道行く人がカメラを向けるのだとか。 シアトルでも貫く居酒屋スタイル
同店は居酒屋というだけあって、小皿料理をいくつもオーダーして数人でシェアする方式。まだまだ日本人以外にはなじみがないそうだが、この居酒屋スタイルをシアトルの人たちにも理解してもらえるよう、オーダーの仕方を顧客に丁寧に説明するようにしているという。 今回はまず、「自家製ラー油のスモーク鮪(マグロ)タタキ」($8)を試食。数年前から日本で話題の「食べるラー油」がたっぷり乗せられたマグロのたたきは、辛そうに見えて案外辛くない。軽くスモークしたマグロはかなり厚めに切られているので十分な食べ応えだ。とろけるようなマグロの舌ざわりと風味豊かなゴマドレッシングとラー油のハーモニーは、一度食べたらやみつきになること間違いなし。葉物野菜とともに添えられているのは、見たことのない鮮やかな根菜のスライス。これはウォーターメロン・ラディッシュ(WatermelonRadish)といって、スイカのように赤い身をしたラディッシュだそう。同店にぴったりの面白い食材だ。 次にトライしたのが、スパイシーポークの石焼きビビンバ($12)。レギュラーメニューの「石焼!!角煮ビビンバ」($10.50)に加えて期間限定で提供される一品で、同店オリジナルのヘルソース(Hellz Source)に漬け込んだ豚ひき肉のビビンバだ。トッピングはネギ、温泉卵、刻み海苔といたってシンプル。 アツアツに熱された石の器の中で具とごはんをよく混ぜ、器の壁に押しつけるように広げてしばらく待つと、ごはんが徐々に香ばしいおこげに変わっていく。舌だけでなく、目や鼻でも楽しむことができ、また最後までアツアツのまま食べられるのがこの石焼きビビンバの大きな特徴だ。いかにもスパイシーな色をしていたひき肉も、卵やごはんと混ぜることでほどよくマイルドになるので、辛いものが得意でない人でも食欲をそそられそう。このほか同店では、「中国 4 千年!?揚げ餅マーボー」($8)、しめサバのバッテラ「小浜の名産!炙り〆鯖ってら」($13)などが早くも大人気だという。どのメニューも、味のおいしさはもちろん見た目まで美しいので、彩り豊かな盛りつけやおしゃれな食器にも注目したい。 同店自慢の生ジンジャーエール($4)は、甘さ控えめの自家製ジンジャーシロップになんとショウガの薄切りが入っていて、すっきりとした味わい。とっても体に優しそうだ。他にもモスコミュールやジンバックなど自家製ジンジャーエールが使用されたドリンクがいくつもあるので、ぜひ試してみてもらいたい。バラエティ豊かに揃えられた焼酎や日本酒は他店よりも量が多めでお得感満載なのに加え、ハッピーアワーでは格安になることもしばしば。ほかにも、店名でもあるスイカを使ったモヒートやシャーリーテンプル、柚子フレーバーのドリンクなど、ここでしか味わえないドリンクを楽しむことができる。 予約は電話でのみ可。またたくさんの人に広く活用してもらいたいという思いから、グループ向けの幕の内弁当やカレー弁当などの受注も承っている。 取材・文:原ゆかり
Suika Seattle 611 E. Pine St., Seattle ☎ 206-747-9595 営業時間:月~木 5pm~10:30pm、金・土 5pm~11:30pm、日 定休