冬の寒さの中で真っ先にほころぶ花、梅は、ふくいくたる香りとともに春の到来を告げます。 松などと並んで祝い花の花材として代表的なもので、古くから日本人に愛されてきた花木です。 中国原産と言われ、万葉集に登場することから、奈良時代には日本に渡来していたと推測されます。平安時代にかけては、梅の花を観賞する宴が貴族社会の風習だったとか。江戸時代には、染色や薬用に用いられました。今日では100品種もの梅が栽培されており、食用では梅干や梅酒など日本人の生活に欠かせないものとなっています。
気品に満ちた花や枝ぶりは見事で、花の後の若葉も生命力を感じます。枝はためがききません(曲がらない)ので、若い枝であまりにもまっすぐな場合は、少し折って角度を出す「折りだめ」をします。その時、咲いている花は落ちやすいので、注意しましょう。水揚げは悪くありませんが、太い枝は水切りをしたあと、切り口を鋏で割ります。
今回は鹿児島紅梅という濃いピンクの梅を使いました。あわせるのは椿。まだ蕾ですが、枝ぶりに風情を感じます。葉の裏の汚れもきれいに拭き取り、葉の美しさを強調して春を表現しましょう。
花器:
- 赤色変形水盤
- 四角剣山
花材:
- 梅3本
- 椿5本(いずれも長さが異なるもの)
生け方:
- 一番長い梅(1番)を、剣山の中央に前15度に傾けて立てる。
- 二番目に長い梅を1番の梅の後ろに、後ろ60度に傾けて挿し奥行きを出す。その前に、一番短い梅を前45度に傾けて挿す。
- 一番長い椿を、梅の1番との空間を保ちながら、左側に50度に傾けて挿す。
- 花器の右側に二番目に長い椿を、前に75度傾けて低く挿す。
- 中央に短めの椿の蕾を挿し、足元を残りの2本で隠し、葉の緑で締めて完成です。
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