晩秋から冬にかけて赤、オレンジの実を密集してつけるピラカンサ。実のついた姿と鮮やかな色を生かして生けます。枝は大ぶりですが、小枝に変化が見られるので、枝ぶりをよく選んで生けると持ち味が出ます。
枝は硬くあまりためがききません。また、実が重いので剣山に挿す時は、バランスを取ってしっかりと留めます。葉がかなり多いので、少し整理して実を見せるようにしたり、時には実と対比させて葉を密集させたりしましょう。おもしろい枝ぶりを強調したい時は、葉だけでなく実も取り除いて線を見せ、疎密をつけます。枝にとげがあるので、取り扱いに注意してください。
実は長持ちしますが、葉付きの枝は水揚げがあまりよくないので、水切りをした後、切り口にはさみで割りを入れてください。秋の醍醐味を味わいながら生けましょう。
花器:大砲の弾を再利用した投げ入れ
花材:ピラカンサ5本、添え木1本
生け方:
- 添え木は、投げ入れの高さに切り、枝先にはさみで5㎝ほどの割りを入れる。
- ピラカンサ(40㎝)の切り口に、はさみで5㎝ほどの割りを入れ、添え木に噛ませて右側45度前に傾ける。
- 実付きの多いピラカンサ(60㎝)を、左側に弓なりにまっすぐ立てるように挿す。その時、枝は器のふちと添え木に寄りかかり、枝の切り口が器の中の壁にぴったりと付くように挿して固定させる。
- 実付きの多いピラカンサ(50㎝)を、中央から前に張り出し、垂れるように挿す。
- 奥行きを出すため、短めのピラカンサ(20㎝)を真後ろ45度に挿す。
- 中央に、短めの実付きのピラカンサ(15㎝)を入れて、中央の赤を強調させる。
- ③と④のピラカンサの葉を落とし、枝の線を所々見せる。
- ②のピラカンサの実を落とし、緑の葉を強調して完成。
[花ごよみ]