早春に伸びた枝の節々から美しい新芽が出て、葉はやがて鮮やかな緑色となり、初夏には食用にもなる赤い実をつけます。ノースウエストでもよく見かけるラズベリー、ブラックベリー、サーモンベリーなどを総称してキイチゴ属と呼びます。今回は、散歩に出かけて見つけたみずみずしい赤みをおびたサーモンベリーの実があまりにもかわいいので、これ一種で生けることにしました。
枝先の細い部分はためがききますが、太いところはためにくいので、自然の枝ぶりを生かして生けます。この時季、葉が開いてボリュームがあるため重い感じになりがちです。軽さを出すため葉をしっかり切り落とし、枝の線がところどころ見えるように、また実もよく見えるようにしましょう。水揚げはよいので、水がしっかり揚がっていれば葉は一週間ぐらいもちます。
今回使った器は、八つ口の面白い花器です。こんなときには枝を全部の口に挿すのではなく後ろの2つの口のみ使用して、器の面白さを見せましょう。
花材:
キイチゴ(サーモンベリー)5本
花器:
白色八つ口投げ入れ
生け方:
1. 一番長い枝で流れる線状のものを、奥の列の中央の口元から左前方75度に傾けて挿す。2. ①の枝の半分の長さの枝を1本、同じ口元から左前方やや手前に傾けて挿す。3. 葉と実のついた枝を①の口元から右前方にしっかり突き出すように挿して赤い実を目立たせる。4. 奥行きを出すため、短めの枝を①の一つ後の口元から後方右側40度に挿す。5. 短い葉のみの枝を①の口元に1本挿して、濃い緑で覆って完成です。
[花ごよみ]