伊勢のおばちゃん あなたのお役割は?
「伊勢のおばちゃん」ことみやざきみわさんが、マヤのツォルキンと神道を融合した統計学である「十三導」を元に、人間関係、子育てから経営まで、様々なお悩みを解決します。
日本の昔と今をつなぐ方法
伝統を壊すのではなく、壊れるに任せる。ただし、新しい形で人の心をつなぐ。何事も、そんな心持ちでいることが大切ですね。
シアトルの皆さま、こんにちは。先日、SNSのアカウントをすっぱり断捨離し、引っ越しを終えたみやざきです。優しい方々からは、「のっとられていますよ!(汗)」とたくさんのメッセージ……。ご心配をおかけしました。やめた理由は、発展的なSNSに生まれ変わらせたかったから。私の提唱する人間学「十三導」で、8番の「交流」に当てはまる自分だけに、人数が増える前には双方にチャンスが生まれる場所だったコトを思い出し、再スタートした次第です。
その第一弾として「若手の応援をしていきたい!」と思っているみやざきの目の前に、夏の暑さも吹っ飛ばす熱々の男が現れました。1988年に岡山県倉敷で生まれた和太鼓奏者で、現在は日本で3本の指に入る「世界の山部泰嗣」。演奏だけでなく、作曲・演出・イベント・プロデュースも手掛ける、才能にあふれた日本男子です。その場にいるだけで人をやる気にさせるエネルギッシュさを持ちながら礼節もわきまえ、常に魅力とパワーが全開です。
「あなたにとって、太鼓とは?」なんて、またベタな質問をする私に、山部さんはこう答えてくれました。「朝は歯磨きをするのが当たり前だとしたら、俺は気が付くとバチを持っている!」だそうです。山部さんと電話で話す際、受話器越しにいつも独特な音がします。話しながらパソコンでキーボードをたたけるなんて器用な方だな、と思い込んでいたわけですが、ある日、車に同乗して真実を知るコトになりました。運転しながら、太鼓のリズムを取るかのように指で音を奏でている。それもずっと! なるほど、この人は起きている間中、太鼓をたたいているのだな。
太鼓を趣味にする父とピアノの先生の母を持ち、お腹の中にいた頃から太鼓とピアノの音で育ってきた山部さんに、私は「歩く生太鼓」と命名したい(笑)。大変に色っぽい男でして、老若男女問わず、人を引き寄せる力があります。ガツガツ勢い良く入ってくるのだけど、厚かましさもなければ、やたらソツがない。これは彼が若くから、業界の粋なお兄さん方に囲まれてきたからだろうと想像します。こういうのが相手を思いやる日本文化の良いところだよな、と思うわけです。目に見えないけれど、残して欲しい伝統だと彼を見て感じました。
最近では、若手の歌舞伎友だちと「ART歌舞伎」として公演活動も行っており、ミュージック・コレクションも出しています(Apple Musicでダウンロードできます)。創作太鼓を生んだ先人の苦しみや過程を教えてもらい、彼らがどうしていきたかったのか聞いてきた山部さん。守るべきものは守り、壊れても良いが、壊して良いというのとは違う。そんな彼の言葉で、私はこう思いました。何でも壊せば良いわけではない。時代が変われば何事も変化を伴うけれど、彼が10年、20年と太鼓をたたいていくには、たたく場が必要。変化に対応しつつ、世の中の流れ、先人の思い、同世代の思いを加えて、右も左も時には後ろも思いやって、仲人のようにこの業界を整えていくのだろうなと。
山部さんは人間学「十三導」で3番の「仲人」。「つなぐ」お役割を持つ人です。若くして、自分の役目を知っているかのよう。オバちゃん(私)もぜひ応援したい。その一環として、シアトル公演の企画も考えています。その節はどうぞよろしく。あ、その前に神宮のお膝元である伊勢志摩でコンサートをやろうっと!