今から考える日本への永住帰国
現在はアメリカに住んでいるけれど、いつかは日本に戻りたい! そんなあなたに役立つ知識を、日本帰国支援のエキスパートが提供。
永住帰国者にはすでに米国でリタイアした人もいれば、まだ現役で働ける人もいます。帰国後も働きたい人は多いと思いますが、今回は帰国後の就労について紹介します。
米国の仕事を日本で継続するケース
ITインフラの普及と、ここ2年のパンデミックに対応するテレワークや在宅勤務の定着により、米国の仕事を継続しながらも日本に移住してオンラインで仕事をこなすことが可能になってきました。特にITエンジニア、コンサルタント、デザイナーなどの職種はそうした傾向にあるようです。
運営面でも、個人で事業をしている人はクライアントとの調整が済めば比較的容易に移行できますし、企業に属す会社員も事前に会社と合意を取り付ける事例が出てきているようです。実際、当社で帰国のお手伝いをした会社員の方も何名かいます。
こうしたケースでは、時間的な余裕があれば日本でも仕事を見つけて、両国で仕事を持つことも可能になります。仕事の掛け持ちになるので、日本では正社員としての就労は難しいかもしれませんが、パートタイムの契約社員や、個人事業主として仕事を請け負うことは十分考えられます。
リタイアした人の就労
人生100年時代と言われ、老後の期間が長くなる中で懸念されるのが「長生きリスク」による貧困です。長生きすることによって生活費や健康維持のための医療費がかさみ、老後の貧困が広まるのではないかと言われています。その対策として、リタイアして一線を退いた後も引き続き働く人が増え、日本では働くことを希望する人が60〜64歳で73.3%、65〜69歳で51%※1と多く、欧米諸国と比較しても高い割合です。老後も働くことは、社会とのつながりを保ち、頭や体を動かすことから健康面にもプラスとなります。
ただ、日本経済は決して好調とは言えず、リタイア後の再就職は容易ではありません。米国で培った特別なノウハウやスキルがあれば日本で就労しやすいかもしれませんが、そうでない場合は仕事を見つけるのに苦労することも。日本にはシルバー人材センターという高齢者向けの職業あっせん制度があるものの、職種としては清掃や倉庫管理など単純な仕事で賃金も決して高くないのが実情です。あくまでも時間のある時に働いて、健康を維持しながら少し収入を得るというものです。
国籍と就労
元日本人であっても、米国籍を取得してから日本へ永住帰国または3カ月以上居住する場合、在留資格が必要となります。日本の在留資格は約30種類あり、通常は元日本人の場合、「日本人の配偶者等」という種類を申請・取得します。よく「在留資格で日本滞在中に仕事はできますか」という質問を受けます。日本人が米国で就労する場合に取得するビザをイメージしてのものと思いますが、「日本人の配偶者等」という在留資格では就労に制限はなく、どのような仕事に就くことも可能です。
収入に対する税務申告
帰国後に働いて収入があれば、日本での税務申告が必要となります。米国籍の人、帰国後も永住権(グリーンカード)を放棄していない人は、日本での就労所得を日米両国で申告しなければなりません。また、日米両方で仕事をしてそれぞれに所得がある人は、両方の所得を日本で申告する義務があります。ただし米国籍の場合のみ、帰国後5年間、米国での所得を米国の金融機関で受け取った分は日本の所得には含まれません。税務申告に関しては細かいルールが決められているので、専門家(税理士など)に確認してください。
なお、日本で企業に正社員として就職すると、毎月の給与から一定額の所得税が源泉徴収されます。これは会社が給与から税金を差し引いて予定納税する仕組みで、源泉徴収により面倒な税務申告手続きなく期限までに税金を納めることができます。12月には毎月の源泉徴収額と実際の納税額の差額を精算する「年末調整」を行いますが、これが米国のタックス・リターンに相当します。日本では勤め先の会社が全ての手続きを行うため、個人で申告する必要はありません。※2
リタイアした人もまだまだ働く意欲があれば、永住帰国後、積極的に起業、就労にチャレンジしてみてください。
※1:「令和2年度 第9回高齢者の生活と意識に関する国際比較調査」より。
※2:ただし日本国内で2カ所から給与をもらっている、年収が2,000万円以上ある場合などは、確定申告が必要。
無料オンライン・セミナー開催!
「日本への永住帰国〜帰国時の手続き」
日程:4月15日(金)4pm〜5:30pm
問い合わせ:info@life-mates.jp
申し込み・詳細:www.life-mates.jp/0415K