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もしものときの備え 防災・応急セミナー

取材・文:越宮照代 写真提供:ウォーカー依子

5 月21 日ベルビューで、「もしものときの備え防災・応急セミナー」が行われた。講師は、福岡市消防局で、消防士、救急隊員、火災予防専門官、火災原因調査員など数々の職務を歴任した杉山正一さん。シアトル・ベルビュー地域の日本人には「餅つきの杉山さん」でよく知られている人でもある。
今回のセミナーが実施されたのは、本紙のコラム「役立つフィト・アロマテラピー&ハーブ講座」でおなじみのウォーカー依子さんの肝入りによる。阪神・淡路大震災を体験し、「防災というのは、『いつか』と言っていたのでは遅すぎる。すぐに始めなくては」という危機感を抱いていたウォーカーさんが杉山さんと話しているうちに、「こんな身近に専門家がいるのに、教えてもらわない手はない」と実現させたものだそうだ。

▲︎杉本さんが持参した「防災グッズ一式」
▲︎杉本さんが持参した防災グッズ一式

セミナーは、熊本地震が起こったばかりということもあり、まず地震対策についての話から始まった。日本では、1980年以降は建築物の耐震対策が講じられているが、シアトルは大規模な地震が起こるのは時間の問題だといわれているのに、実際には耐震対策の取られていない建物が多いそうだ。特に崩れる危険性の高い古いレンガや石造りの家が多く、最近のニュースでもその問題について報じていた。
杉山さんは、地震が起こった時に具体的にどうしたらよいのかはもちろんのこと、これから家を建てる人、あるいは家を買おうとしている人に、立地の選び方や建築方法などの注意点を具体的に教えてくれる。また、自宅での耐震対策は「危ないのは落ちてくるもの、倒れるものだから、棚は壁に固定させる。食器棚の扉は簡単には開かないようにする」などの注意を促した。
防災グッズの準備については、「夜中に起こったときを想定して備えるようにしてください」と言われて、なるほどと納得。昼間だと見えるから危険も避けやすいが、夜は停電で暗闇になることが考えられる。

▲︎参加者にロープの結び方を教える 杉本さん(左)
▲︎参加者にロープの結び方を教える<br >杉本さん左

杉山さんの話を聞いていると、膨大な情報量を少しでも多く伝えたいという思いが伝わってくるし、現場にいた人の話だから、説得力がある。特にそれを感じたのが「まず自分が助かることを考えなさい。自分が助からなければ誰も助けられない」という言葉だった。
3時間あまりの講習だったが、臨場感に満ちていて時間の経つのがとても早く感じられた。応急処置に役立つ三角巾の使い方や、いざという時に知っておくと助けになるロープの結び方など、具体的に役立つことが満載のセミナーだ。今後も継続して開催したいそうなので、ぜひ多くの人に参加してほしい。参加費の中には、三角巾、ロープ、テキストなどが含まれている。
何よりも杉山さんの声を通して聞いた情報は本を読むよりもはるかに記憶に残る。それが一番の収穫だと感じた。

防災・応急セミナー
日時:6月18日 (土)、6月28日 (火)、9月10日 (土)、9月29日 (木)、9:30am~1:00pm
場所:1420 156th Ave. NE., Suite F, Bellevue, WA 98007
料金:$100
詳細:www.jaromalab-usa.com/disaster/