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おかえりなさい、イチロー!

シアトルが熱狂したマリナーズ対マーリンズの3日間

野球ファンのみならず、シアトル在住の日本人の間でも大きな話題となっていたシアトル・マリナーズ対マイアミ・マーリンズ戦が、4月17日から19日の3日間にわたり行われました。3日間連続で観戦に出かけたスポーツ大好きソイソーススタッフが、試合の様子をお届けします!

取材・文・写真:吉田雛子

初日試合前のイチロー選手と岩隈選手ツーショット

今回の目玉は何と言っても、2001年から2012年までマリナーズで活躍した「イチロー」こと鈴木一朗選手(マイアミ・マーリンズ)。初日、私は試合開始の2時間程前にセーフコ・フィールド入りしたが、3塁側にはイチローファンが既に待機していた。イチロー選手はバッティング練習をする姿や、岩隈久志選手(シアトル・マリナーズ)との談笑など、ファンには堪らないショットを見せた。

この日は試合前に、イチロー選手のメジャー通算3,000本安打記録の表彰セレモニーがあった。セレモニーでは元ホームであるシアトルのファンからの大歓迎を受け、マリナーズの元同僚らもその偉業をたたえた。スターティングメンバーのアナウンスで9番・レフト、イチロー選手の名が呼ばれると、球場全体から大きな歓声が上がった。試合結果は6対1でマリナーズの白星となったが、セーフコでは3年振りのイチロー選手出場とあって、始終歓迎ムードであった。

最終日の3日目はデイゲームで、先着2万人にイチロー・ボブルヘッド人形が配布された。私自身も開門時刻にゲートに並び、人形をゲット。3塁側には初日同様多くのファンが待機しており、イチロー選手がアップに現れるとファンは大喜びした。この古巣・セーフコでの最終日、イチロー選手はファンに応えてサインをし、歓喜のあまり泣くファンの姿もあった。残念ながら私はサインをもらうことができなかったが、自分の人生において本物のイチロー選手を生で、まして5メートルもない距離で見られるとは夢にも思わなかったので、間近で感じる圧倒的なオーラに感激した。

日本人の観客には大変嬉しいサプライズで、この日の始球式はなでしこジャパンとしても活躍した川澄奈穂美選手(シアトル・レインFC)が登場し、岩隈選手が捕手を務めた。最終日、イチロー選手は9番・ライトとして出場し、「エリア51」と呼ばれる場所に立った。試合は最終的に両軍計25安打という乱打戦となったが、6回で救援した田澤純一選手(マイアミ・マーリンズ)は同回を無失点で抑え、7回も続投し3者凡退とする活躍をした。

最終日9回にホームランを打つ直前イチロー選手お馴染みの構え

この3日目が決定的に記憶に残る試合となったのは9回、満を持してのイチロー選手のソロホームランである。イチロー選手にとってセーフコで戦う最後になるだろう、そんなことも言われていたこの打席で、初球をライトスタンドへ打ち放ち、彼の今シーズン第1号のホームランとした。球場には歓声とイチローコールが響き、私の隣にいた老紳士は涙していた。「ああやはり、彼は本当のスーパーヒーローだ」と誰もが胸に刻んだ歴史的な瞬間に立ち合った観客は、この先ずっと、その瞬間を思い返す度に身体が震えるのだろう。

最終日ファンに応えるイチロー選手初日からずっと応援に来ていたファンもいた

結局のところ、シアトル・マリナーズにとってイチロー選手は大きな存在であったし、今後もマリナーズそして日本人メジャーリーガーの歴史を語る上で欠かせない「伝説の選手」だという事実を思い知らされた3日間となった。