6月末、佐々江賢一郎駐米大使がシアトルを訪問した。目的は、全米アジア研究所での基調講演、ワシントン州と日本との経済及び貿易関係に関する協定締結署名などだ。
滞在中の27日には日系二世復員軍人会記念会館で、地元日系コミュニティー関係者の主催による佐々江大使のシアトル訪問歓迎会が開催され、大村昌弘在シアトル総領事および日系コミュニティーの人々が多数が出席し、歓迎の意を表した。大使によるスピーチに続いて、イベントのハイライトとして、KING5テレビ局アンカーのローリ・マツカワさんが大使に日米問題に関するインタビューを行った。その中で大使は、米軍基地問題に関しては「沖縄の住民がまだ戦っていることを理解し、問題解決に向けて善処したい」と語った。
沖縄の米軍基地問題については、日本で7月10日に行われた参院選の争点の一つとして沖縄では大きく取り上げられた問題でもあり、今後の政府の対応が注目される。
また、TPP に関しては、「各国には、農業の様に伝統的な貿易の形やシステムがあるため、貿易の際に問題が生じることがあるが、参加国が話し合い、協調することで生産的な関係が促進できる」と語り、TPPへの前向きな姿勢を見せた。
28日、佐々江大使は、ワシントン州商務局シアトルオフィスで、ジェイ・インズリー・ワシントン州知事との間で経済及び貿易関係に関する協力覚書に署名した。日本とワシントン州の交流は50年以上に渡る神戸市とワシントン州の姉妹関係を始めとし、長い歴史を持つ。そのひとつに貿易による経済的関係がある。「政府間の協定はよく見られるが、国と州間の良好な関係は珍しく、双方にとって素晴らしいアイデアだ」と大使は今回の協定を喜んでいる。
「これからも日本国政府とワシントン州の連携を進めることで、経済及び貿易関係を更に深くしていきたい」と結んだ。今回の協定を機に、日本とワシントン州はさらに深い絆を築いていくことが期待される。
取材・文:長岡里沙 写真:井上昌子