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アメリカのベトナム人家庭にホームステイ

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アメリカのベトナム人家庭にホームステイ

シアトルは本当にいい街だ。美しい自然、親切な住民、移民や性マイノリティーへの理解、程よい人混みなど、何を取っても素晴らしい。観光客に対してもウェルカムな姿勢が年々の空港利用者数の増加につながっているのだろう。もうすぐ、シアトルを旅立ってしまうが、ずっとここにいたい気分だ。
しかし、今だからこそ「好きだ」と言えるのであって、始めは困難の日々だった。私はホームステイだ。初日、ホームステイ先に着くと、おばあちゃんが一人リビングにいた。「My name is Yuta. Nice to meet you.」と簡単に挨拶をしたのだが、首をかしげるだけで応答がない。手招きをされるまま付いて行くと、空っぽの部屋に案内された。おそらくここが自分の部屋なのだろうと考えた。
今では質素な部屋の雰囲気がむしろ味が出ていて気に入っているが、最初はすぐに帰りたくなるほどだった。この時はまだここはアメリカ人家庭だと思い込んでいたのだが、翌日の朝食で伝統料理フォーが出てきた時に、ようやくこの家庭がベトナム系だと分かったのだ。
その日の夜、私はバスタオルを持ってきていなかったため借りようと思ったのだが、風呂場にバスタオルはなく、あるのは便座拭きのタオル一枚だけ。さすがに他のタオルを使いたいなあと思い、おばあちゃんに聞いてみることにした。Wi-Fiもなくインターネットの使えない状況で、ジェスチャーだけで会話を試みた。作戦は「おばあちゃんを風呂場まで誘導し、例のタオルで体を拭く仕草をする」というもの。いざやってみて、若干動作はぎこちなかったものの、「伝わった、よし!」そう思ったのもつかの間、持ってきてくれたのはハンカチくらいのミニタオル。生まれて初めて、言葉が通じない難しさを体感した。
次の日バスタオルを買い、簡単なベトナム語アプリを取得した後、家に帰った。その後2日間はおばあちゃんとしか会わなかったが、ベトナム語のあいさつと積極的な手伝いを心掛け、私たちの仲は徐々に深まっていった。
(ゆうた/ウエストシアトル)