バ・サ
Ba Sa
シアトルのみならず全米でも進化系ベトナム料理が増え、注目が集まっています。今回はノースウエストの食材をイノベーティブに仕上げることで人気のベトナミーズ・レストラン、バ・サをクローズアップ!
取材・文:本田絢乃
今、シアトル界隈のフーディーたちの間で話題のレストランがあるのは、ベインブリッジ島。フェリー乗り場から徒歩15分、ダウンタウンの端にそのレストラン、バ・サがある。週末ともなれば、フェリーの到着時間に合わせて客がどっと押し寄せる繁盛店だ。
レストランを運営するのはグエンさん姉弟。ベトナムからの移民である両親が営むポールズボーのフォー・ティー・アンド・エヌを引き継いだあと、2019年に姉妹店としてこのバ・サをオープンさせた。金融分野の学位を持つ姉のチンさんが主に経営面を担い、ニューヨークで料理を学んだ弟のタイさんがメイン・シェフを務める。
店の名物料理のひとつが、スパイシー・トリュフ・ワンタン。蒸した豚肉とエビのワンタンに、トリュフオイル、ネギ、ゴマ、チリオイル、ショウガのソースがたっぷりかけられている。エスニックな香りが口いっぱいに広がり、これがビールによく合う。バ・サではタイやフィリピン、中国などアジア圏の銘柄から、日本人の心をくすぐるアサヒやサッポロまでの豊富なラインナップがそろい、あれこれビールを選べるのもうれしい。
そして、これまたビールのアテになりそうなチリ・ライム・カラマリには、ベトナムの万能だれ、ヌクチャムが添えられる。クリスピーな衣をまとったイカフライをヌクチャムにさっとひとくぐりさせ、味変しながら楽しむのがバ・サ流だ。トリュフ・ジョジョズに付いてくるディップ・ソースも、これまた癖になる味で、付属するたれのクオリティーが全体的に高いと感じた。一瞬、「これはアメリカ料理?」と思わせるスキレットの熱々ステーキは、実はベトナムのローカル料理で、ボーネーと呼ばれる。ボーネーはBò(牛) Né(避ける)を意味し、熱い鉄板から飛び散る油を避けながら食べるため、その名が付いたのだとか。
メイン料理には、他店でも食べられそうな定番のフォーやバインミーはパスし、グリルド・ポーク・アンド・ライスをチョイス。香ばしくグリルされた豚肉にソースがよく染み込む。あっさりとしたピクルスの付け合わせは、ホッと落ち着く味。
シェフのタイさんは、幼い頃に住んでいたタイのフレーバーを加えたり、料理学校で学んだフランスのエスプリを効かせたりと、オリジナル料理の開発に熱心。ウベ・バブル・ワッフルが評判の週末限定ブランチは、残念ながら来春まではお休みだそう。復活を楽しみに待ちたい。
Ba Sa
101 Winslow Way E., Bainbridge Island, WA 98110
営業時間:月水~金 11am ~ 9pm、土日 10am〜3:30pm/5pm〜9pm 定休:火
☎︎206-565-3287