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横浜から船でバンクーバーへ(その3)

横浜から船でバンクーバーへ その3

 

船の屋上デッキに設置されたピックルボール用のコートは屋外スポーツが楽しめるが天候に左右される

「年寄りの旅」と決めつけていたクルーズ旅行。10年前に初めて参加し、その楽しさに目覚めた。3度目となる今回は悪天候のため、2週間の日程で中6日間の船上生活を余儀なくされたこともあってか、クルーズ旅行の良し悪しについて自分なりに見えたように思う。

●楽しいこと

1)いつでも食べられる:ダイニング・ルームでは3食ともテーブル・サービス。チップは下船前にまとめて払う。ただし、酒類は船内専用カードを使う必要あり。時間外でもビュッフェが供される。

日本発のクルーズにしては人数が少ないながらも日本人を集めたハイティーが企画された日本語で会話ができる稀な機会

2)宿泊料込み:キャンプ旅行などできなくなったシニアにとっては豪華客室を選ばない限り、他種の旅行よりお得。ホテル同様に、掃除などの雑用は他人任せで、しばし殿さま気分に浸れる。

3)退屈しない:食堂、図書室、ジム、ピンポンなどの娯楽設備、コンサートやミュージカルほか各種エンターテインメント、さらにコンピューターや料理の教室まで、全て料金に含まれる。寄港地観光ツアーも別途購入可。

3リドLidoと呼ばれる屋外デッキピンポン台のほかプールやジャクジースパもある

 

4)仲間との出会い:長時間同じ場所にいると、各国から来た乗客と交じり合える。ピックルボールや社交ダンスなどの趣味を通じて出会いが広がる。

●気になること

船内で働くサービス係の職務のひとつタオルの折り紙全客室に置く手間を考えると不必要なぜいたくと思ってしまう

1)従業員の格差:航海士やパーサーなどはほぼ白人で占められるのに対し、掃除係や食堂の給仕は主に東南アジアから出稼ぎにきている若者たちで、半年契約の間、休みなしと聞く。ビュッフェのウエーターは1日11時間労働。何とも気の毒だ。陸に上がると、外貨の両替や故郷の家族への仕送りができる店の前に集う彼らに出くわす。

2)眠れない:今回利用した配置転換クルーズ(Repositioning Cruise)は、季節の移り変わりに伴い、船を別の地域へ配置転換させるもので、天候が中途半端な分、値段が割り引かれる。連日、1時間ずつ時計を早めていくので、睡眠パターンが変わってしまう。日付変更線を通ると同じ日を2度繰り返すという、飛行便では感じなかった経験にも面食らう。飛行機より時差調整が楽だろうと高をくくっていたら大間違い。

クルーズの魅力のひとつは普段見られない大自然の景色が冷暖房のある船のビューラウンジから望めること写真はアラスカのアイシーストレートポイント

3)よく調べずに予約して失敗:目当てのピックルボールと社交ダンスがあまり楽しめなかった。屋上のスポーツ・コートを利用できるのは天候次第。生バンドはブルース専門で、ボールルーム・ダンスには合わなかった。

5月上旬の北太平洋はまだ寒い船上では寒中水泳と銘打ってプールにバケツで氷を投げ入れる演出をするも実はプールの水は温かい

4)押し売り:船上での宝石ギフト販売、記念写真を撮りまくるフォトグラファーがしつこい。

5)病気の巣:食堂のビュッフェでは、各々がトングを使う食べ物もある。入り口のアルコール消毒液を無視する人もいて、病気が伝染しやすい。ある婦人が「クルーズでは、いつも風邪を引く。もう今回でやめる」と言っていたのはショックだった。

武田 彰
滋賀県生まれの団塊世代。京都産業大学卒業後日本を脱出。ヨーロッパで半年間過ごした後シアトルに。在シアトル日本国総領事館に現地職員として39年間勤務。政治経済や広報文化などの分野で活躍。ワシントン大学で英語文学士号、シアトル大学でESL教師の資格を取得。2013年10月定年退職。趣味はピックルボールと社交ダンス。