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アンポ・ハンタイ〜みきこのシリメツ、ハタメーワク

第44回 アンポ・ハンタイ

6月16日、沖縄県議会議員選挙が行われた。名護市から3名立候補し、2名が選出された。1人は自民党、残る2人は無所属。その中の1人はワクチン接種反対者で、そのことしか掲げていない。当然票数は少なかった。

彼は初めから当選するつもりではなく、社会の動向、ただワクチンが必要という政府の言いなりになっている市民に対し、「ちゃんと考えようよ」という態度を示していたのではないか。

政府は2兆円超を投じワクチンを買いあさったが、消費期限を過ぎて破棄した自治体も多い。自治体に配布以前は製薬会社が保管し、約6000万回分、全体の6%に相当するワクチンが配布前に廃棄されていた(読売新聞オンライン)。ワクチン後遺症患者の話も副作用もメディアにはほとんど出てこなかった。

自民党と無所属立候補者の政策の根本的な違いは、米軍基地の普天間から名護市辺野古へのこへの移設問題だ。自民党内閣が米政府と合意したため、今年1月からすでに工事を始めている。だが、玉城県知事は移転に反対で最高裁に上告した。理由は予定地のサンゴ礁の移動と軟弱地盤のための埋め立て。サンゴ礁を移動してしまうとサンゴの生息が危ない。埋め立ての土は糸満いとまん市から運ぶという。日本で唯一の戦場となった場所、ひめゆりの塔のある糸満市。県民の4人に1人が亡くなり、まだ発掘されていない戦死者の遺骨が埋まっている。それに加えて、地元小学校の上空を飛ぶ戦闘機まがいの米軍機の爆音に、子どもたちがおびえてしまう。誰もが安心して安全に学問を受ける権利があるのではないか? 子どもたちは沖縄の未来、日本の将来だと私は思う。

内閣が合意したのは、日本を守るために基地の建設が必要、ということか。沖縄全島を合わせてもほんの少し東京都より大きいこの県に、米軍基地総面積の70%が集まっているのは、日本を守るためではなく北朝鮮、中国の動向を見張るアメリカ側のメリットだろう。台湾も東京より近い。

この絶好の土地を得るために、米軍は一般庶民の私有地を賃貸したく、だが、大田昌秀前県知事はそれを拒否した土地所有者を代表し署名しなかったため国が代行し、基地の一部になってしまった。「国を守る」という目的なら、県よりも国が優先されるのか。今回の辺野古への基地移設も玉城デニー知事が署名を拒否したため国が代行してしまった。玉城知事はその見直し、きちんと話し合いがあるべきだったと最高裁に上告したが、却下された。

1960年に改定された日米安全保障条約。改正の動きはないものか? 戦後およそ80年を経過した今、日本は敗戦国、植民地ではないはず。小学校低学年の頃、日本橋で安保反対デモ隊が近所を回っていた。大人たちが危ないから外に出るなと言う中、子どもたちは「アンポ・ハンターイ!」とふざけて家の中ではしゃぎまくっていた。

「アンポって何? アンコの入ったボタ餅のこと」と本気で思っていた私。


参考文献

▪️第1パラグラフ: 読売新聞オンライン
https://www.yomiuri.co.jp/medical/20230330-OYT1T50061/

▪️第3パラグラフ:玉城県知事は移転に反対で最高裁に上告
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240301/k10014376581000.html

天海 幹子
東京都出身。2000年から2005年まで姉妹紙『北米報知』ゼネラル・マネジャー兼編集長。「静かな戦士たち」、「太平洋(うみ)を渡って」などの連載を執筆。2020年11月に日本に帰国。同年、著書『ゼッケン67番のGちゃん』を刊行。