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落とし物〜みきこのシリメツ、ハタメーワク

第41回 落とし物

娘がカリフォルニアから、友だちを連れて7人で日本旅行に来た。昨日は新宿御苑をぶらぶらしたらしい。今朝の電話で、友だちが財布を落としてしまったので、御苑の拾得物係に電話して欲しいとのこと。

夕べは交番に届け出たが、夕方5時を過ぎていたので御苑には連絡できなかった。カリフォルニアの免許証、JRパス、デビットカード2枚で、現金は入っていない。赤い革製の小さなお財布だ。新宿御苑と言っても、広い。落としたのは「母と子の森」の辺りか、スターバックスの付近。

早速、御苑のインフォメーションセンターに電話した。調べて折り返し連絡してくれるとのこと。スターバックスの新宿御苑店では、電話に出た女店員が、「少しお待ちいただけますか? ちょっとその辺りを見てきます」と、有無を言わさず探しに行ってくれたのだ。日本のサービスはすごい! と感激したが、見つからず。

その後20分くらいして、御苑のインフォメーションセンターから見つかったとの連絡が。早い! アメリカだったらその日のうちに電話があればいいほうだ。 翌日、広島、岡山に行く予定の娘たちは、JRパスを落とした友だちとどうしようか思案中だったところ。

われわれが育った時代は、失くした人が困っていたらかわいそうだから、一刻も早く返してあげようと、交番に届けた。現金を届けると、昭和のお巡りさんは10円くれたこともある。長女も20年ほど前、目蒲線(現在の目黒線)の西小山駅のベンチに2,000円ほど入った財布を忘れ、戻った時、そこにそのままあったことを思い出した。アメリカなら、空の財布をゴミ箱に見つけるくらいだろう。最近は、日本でもそれが日常になりつつあるのかと、危惧していた。日本人の、他人の気持ちを考えられる精神がまだ存在しているんだと、財布が見つかったことよりも、そっちがうれしかったのだ(娘の友だちよ、ごめん!)。

新宿御苑はもちろんのこと、日本のスタバも捨てたもんじゃない!

東京都出身。2000年から2005年まで姉妹紙『北米報知』ゼネラル・マネジャー兼編集長。「静かな戦士たち」、「太平洋(うみ)を渡って」などの連載を執筆。2020年11月に日本に帰国。同年、著書『ゼッケン67番のGちゃん』を刊行。