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Ghostbusters: Frozen Empire(邦題「ゴーストバスターズ/フローズン・サマー」)〜注目の新作ムービー

注目の新作ムービー

40年前のゴーストバスターズと現在をつなぐ


Ghostbusters: Frozen Empire
(邦題「ゴーストバスターズ/フローズン・サマー」)

「ゴーストバスターズ」シリーズは、2016年のリブート版を含めて全5作。1984年の1作目はユニークなSFコメディーとして大ヒットし、1989年の2作目のマイナーヒットを経てアニメやゲームまで作られる人気の高いフランチャイズとなった。本作は、2021年の第3作「ゴーストバスターズ/アフターライフ」の続編。

前作では、元ゴーストバスターズ・メンバーの故スペングラー博士(故ハロルド・レイミス)の娘とふたりの子どもたちが科学教師と共に、田舎町に起きたゴースト騒動を経て、ゴーストバスターズとして復活する様子を描いた。このシリーズ最新作では、その一家がニューヨークで大活躍する。

1作目から40年後、懐かしい消防署を舞台に、ゴースト捕獲に奔走しているのは、スペングラー家の長でシングルマザーのキャリー(キャリー・クーン)、物理や機械に詳しい娘のフィービー(マッケナ・グレイス)、やや頼りない息子のトレヴァー(フィン・ウルフハード)、そして前作で母と親しくなった教師のゲイリー(ポール・ラッド)の4人。ところが、ビルを破損したことから市長(ウィリアム・アザートン、1作目でゴーストバスターズを目の敵にした役人)に呼ばれ、活動の自粛と15歳のフィービーの就労禁止を言い渡される。ゴーストバスターズの中で誰よりも奮闘していたフィービーはガックリ。同じ頃、初代ゴーストバスターズのレイモンド・スタンツ博士(ダン・エイクロイド)は、オカルトのグッズや本を扱う鑑定ビジネスをしていた。そこに得体の知れない骨董品が持ち込まれ、これに閉じ込められていた魔物が解放されて、一大騒動に。

本作の特徴は、現在のスペングラー家と1作目の3博士、新旧ゴーストバスターズを引き合わせ、ファンサービスに徹したことだろう。ティーンを主人公にして子どもたちにアピールし、長年のファンも取り込む、という二兎を追ったものの、成功したとは言い難い。

1作目からは、スタンツ博士のほかに、ヴェンクマン博士(ビル・マーレイ)やゼドモア博士(アーニー・ハドソン)、受付担当のジャニーン(アニー・ポッツ)らがスペングラー一家を助けて、ニューヨークを氷の街にしてしまったガラッカという魔物と対決する。これだけでバスターズが8人という大所帯。そのうえ、店に骨董品を持ち込んだ男(クメイル・ナンジアニ)の家族の秘密や、少女の幽霊とフィービーの出会い、幽霊の正体を見極めたいゴースト研究者、難解な物理の話なども詰め込んだサイドストーリーが盛りだくさんで、食傷気味となってしまった。

これなら前作の「アフターライフ」のほうがずっとスッキリしていて楽しめた。前作が成功すると次作はもっと面白くしようと話を盛り過ぎ、かえってつまらなくなる、ハリウッド映画特有のトラップに落ちた感がある。

熱烈なファンがいる一方で、女性だけのゴーストバスターズとなった2016年のリブート版は一部で大不評を買い、あからさまな女性蔑視が問題化した。迷走するシリーズという印象は否めない。

Ghostbusters: Frozen Empire

(邦題「ゴーストバスターズ/フローズン・サマー」)


写真クレジット:Sony Pictures Releasing
上映時間:1時間55分
シアトル周辺ではシネコンなどで上映中。

 

映画ライター。2013年にハワイに移住。映画館が2つしかない田舎暮らしなので、映画はオンライン視聴が多く、ありがたいような、寂しいような心境。写生グループに参加し、うねる波や大きな空と雲、雄大な山をスケッチする日々にハワイの醍醐味を味わっている。