WNBAのシアトル・ストームが8年ぶりに通算3度目の優勝を果たしました。ベテラン37歳のスー・バードにとっても2004年、2010年に続く3度目の快挙。レギュラー・シーズンとWNBAファイナルのMVPに選ばれた24歳のブリアナ・スチュワートにとっては初快挙。2人とも名門コネティカット大学出身で、ドラフト全体1位でストームに指名され、入団3年目に優勝達成と、共通点が豊富です。
今季のストームは黒星発進するも、プレーオフまで連敗なし。百戦錬磨のスーが「ひょっとしたらこのチームは優勝できるかも?」と思い始めたのは、8月中旬の今季2度目のミネソタ遠征で、昨季の覇者であるミネソタ・リンクスを破ってから。それまで連敗続きだった敵地のリンクス戦を制し、前回勝った2010年には2つ目の優勝リングを手にしたことが脳裏をよぎったそうです。
唯一連敗を喫したのはフェニックス・マーキュリーと対戦したプレーオフ準決勝。ホームで2勝し、決勝進出へ王手をかけたものの、敵地フェニックスへ舞台を移してから今季最大の苦戦を強いられました。第4戦では肘を鼻に受けたスーが骨折する不運にも見舞われますが、「何度も経験してるから要領はわかってる。次の試合は出る」と、マスク着用で第5戦に出場。第4クオーターの3点シュート連発でチームを決勝へと導きました。
ワシントン・ミスティックスと対戦したプレーオフ決勝も、まずホームで2勝し、優勝へ王手をかけてワシントンDCへ。緊張感が張り詰める試合前、昨季リンクスで優勝経験があるナターシャ・ハワードが「みんな心配しないで。シャンパン・ファイト用のゴーグルは用意してあるから」とジョークを放つと、スーは「このチームなら勝てる」と確信したのだそう。早々と3試合で決着がつきました。
それから3日後の15日、シアトル・センターで優勝パレードが行われました。シアトルでは2014年2月のシーホークス、2016年12月のサウンダースに続き、この5年間で3度目。シーホークスとサウンダースは共に初優勝です。一方、スーはWNBA優勝3回に加え、大学時代に全米優勝2回、2004年のアテネ五輪から4大会連続の金メダルと輝かしい経歴を誇り、シアトルで最も偉大なスポーツ選手と言っても過言ではないかもしれません。
優勝パレード後のスピーチで、シアトルのジェニー・ダーカン市長はキー・アリーナ正面の道を「シアトル・ストーム・ウェイ」へ名称変更すると発表。さらに「スーの銅像を建てるべき」と言って会場のファンを沸かせました。しかし、来月38歳になるスーは、来季の現役続行を明言。せっかくの銅像の話も、しばらくお預けです。
All Photo by Misa Kanaoka