禅修行で心を研ぎ澄ます
曹洞宗永祥禅寺 座禅会/写経会
シアトル市内のレニアバレーにある曹洞宗の寺、永祥禅寺では月2回、日本語座禅会を開催する。座禅は大乗仏教の宗派である禅宗の修行。
(取材・文:室橋美佐)
近年、瞑想がリラクゼーションや集中力アップなどの効果をもたらす「マインドフルネス」として注目されているが、住職の板垣光昭(こうしょう)師によれば、マインドフルネスと座禅は全く異なるものだそう。「マインドフルネスは瞑想からの効果が目的ですが、座禅はそれ自体が目的なので、効果は求めません。ひたすら座して自分と向き合います」
鎌倉時代に道元禅師を開祖として始まった曹洞宗。永祥禅寺では、シアトルにいながら道元禅の修行を受けることができる。板垣師は、35歳で禅宗に出合い、神奈川県の大雄山最乗寺などで修行後、国際布教使として1999年からハワイ、2006年からシアトルで、本来の禅修行を広めるべく活動を続けている。ロチェスター工科大学哲学部のブライアン・修道・シュローダー教授などと共に道元禅についての本を出版するなど、禅修行の奥義やその歴史に造詣が深い。ブータン王国のチベット仏教コミュニティーとも親交があり、定期的な交流を行っている。座禅会では30分間の座禅が2回に分けて行われ、最後に約30分間の説教もある。仏教の歴史や宗教論に興味があれば、板垣師の説教を聞くだけでも価値があるだろう。
座禅会と合わせて、不定期で開催される写経会では、般若心経などの経典を書き写す。「自分と向き合うのが座禅だとすれば、写経は誰かのためにするもの。祈りを込めて書いていきます」と板垣師。どちらも仏教信者である必要はなく、初心者でも気軽に参加できる。静寂の中、心を研ぎ澄ます時間を過ごしてみては。