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ルートキャナルの外科的治療法

健康な歯でスマイルライフ

日本では北海道医療大学歯学部で博士号を取得。米国でもロマリンダ大学歯学部を卒業し、2005年にPAN-PACIFIC DENTISTRY(パンパシフィック歯科医院)を開業した中出修先生に、アメリカで生活する日本人へ向けて歯や口腔について、説明していただきます。

ルートキャナルの外科的治療法

ルートキャナルは、虫歯が深くなった場合など、歯の神経部分(歯髄)が死んだり、炎症が強くて回復の見込みがなかったりしても、自分の歯を残せるようにする治療法です。歯のかむ面に穴を開け、そこから歯根の中を掃除したうえで密閉します。しかし、治療後に感染を起こすケースが20〜30%もあります。感染が起きた場合、再びルートキャナルをやり直すほか、歯肉を開けて歯根の先端から感染源を取り除いてから歯根の先端を密閉する、外科的な方法も考えられます。今回は、このルートキャナルの外科的治療法について詳しく説明します。

どうしてルートキャナル後に感染?

治療後に感染を起こす場合、以下のような要因が考えられます。

  1. ルートキャナル自体が解剖学的に複雑。枝分かれ、わん曲、ループ状などが多く見られ、感染源が取り除き切れていないことがある
  2. ルートキャナル治療の最後の段階で密閉する際の状態が良くない
  3. 歯根の先端の外側に繁殖する細菌が感染源となっている
  4. 歯根の先端にうみの袋(のう胞、Cyst)ができ、そこが感染源になっている

これらの要因が多く組み合わされるほど、難しい症例ということになります。

ルートキャナルを外科的に治療するには

ルートキャナルの外科的治療は、歯根の先端からアプローチする方法が一般的で、歯根の先端を少量カットする手術(歯根端切除術、Apicoectomy)をします。従来のルートキャナルの密閉に使われた材料も少量取り除き、新たにその部分を密閉(逆根充、Retrograde Filling)します。密閉する材料は、MTAセメントや、接着性の高いレジン(4メタレジン、スーパーボンドなど)が使われます。この外科的治療法で、難しいルートキャナルも完治するケースが70〜90%あると言われています。

抜歯してインプラントか、ルートキャナルか

ルートキャナルの外科的治療法ではなく、抜歯してインプラントという選択もできます。これは、自分の歯にこだわるのか、より成功率の高い治療法(ただし、技術者によるところが大きい)を望むのか、予算はどうするのかで変わってきます。詳しく説明を受けてから決めるしかありません。インプラントにしても、十分な骨の量が必要なので、抜歯後の骨の量を予測できないといけません。ルートキャナルの外科的治療法で再感染が起きた場合、さらに歯根を根元からカット(歯根切除術、Root Amputation)したり、抜歯して感染源を取り除いてから再び元の位置に戻す意図的再植術を行ったりすることが、まれにあります。しかし、歯を残したいなら十分検討に値する治療法なので、歯科医に相談すると良いでしょう。

まとめ

いずれにせよ、ルートキャナルが絡む治療には、さまざまな選択を迫られることが少なくありません。歯科医に相談しながら治療することが重要と言えます。

中出 修
福井県出身。1985 年、北海道医療大学歯学部卒業。1993年、同大で博士号を取得後、講師に就任。 2003年、ロマリンダ大学歯学部卒業。歯科医勤務を経て2005年、タコマ近郊に開業。2006年10月にサウスセンターモール近くに移転。 パンパシフィック歯科医院 Panpacific Dentistry 411 Strander Blvd. Suite 207, Tukwila, WA 98188 ☎ 253-243-7748