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免疫細胞とがん予防〜栄養学で若返り!スローエイジング

栄養学で若返り!スローエイジング

ゆっくりときれいに年を重ねることを目指す「スローエイジング」という考え方。更年期が気になる大人の女性に向けて栄養学の発展したアメリカ在住だからこそ実践したい、元気で若い体づくりを提案します。

免疫細胞とがん予防

実は私たちの体内で、がん細胞が日々作られているのをご存じでしょうか? がんの原因は複雑ですが、食事や生活改善で予防、リスク軽減できることもあります。私たちの健康にとって欠かせない免疫細胞について知っておきましょう。

免疫細胞とは?

2人に1人ががんになる時代、医療界でも効果的ながん治療に向けてリサーチや実験が続けられています。免疫療法(Immunotherapy)もそのひとつです。この治療は、私たちの体に備わっている免疫細胞の自己防衛力を使い、がん細胞を消滅させるというもので、今後の医学の進歩に期待が高まっています。

私たちは毎日、病原体、ウイルス、細菌など、体に属していない物質と接触しています。こういった物質の体内への侵入を防ぐ働きをするのが免疫細胞です。約80%の免疫細胞は腸内に集まり、残りは肌や血液などに分散し、いつ病原体などの侵入があっても排出できるようにしています。

免疫細胞は多くの種類があり、それぞれ異なった役割を果たしています。病原体、異常細胞などを感知して排出するために、免疫細胞同士がコミュニケーションを取り合い、協力します。たとえば免疫細胞の一種であるB細胞は、変異した細胞を感知して抗体を作り、他の免疫細胞の援助を求めます。こうして変異細胞に対する処理がかなうのです。転んでできた傷が炎症を起こして膿が出るのも、ウイルスに感染して熱が出るのも、免疫細胞がコミュニケーションを取りながら病原体と戦っている証拠です。この細胞間のコミュニケーションに必要な物質を作り出す過程には、さまざまな栄養素が関わっています。つまり、毎日の食事に気を付け、ライフスタイルを見直すことが免疫強化につながるわけです。

免疫細胞が効率良く機能するためには、最適の栄養状態を保つことが望まれます。特に40代以降は免疫細胞の生成が減り、機能自体が衰え始めるうえ、ホルモンバランスの崩れから女性特有のがんリスクも上がります。病院での検診を欠かさず、同時に免疫を強化する栄養素を意識して取り入れたいものです。

免疫機能に必要な栄養素

では、免疫の機能を高める栄養素とは何でしょうか。次にその例を挙げました。この5つの栄養素は特に免疫細胞の生成、機能に関わっているため、積極的に取り入れてみてください。

ビタミンD:免疫細胞が病原体の消滅に必要な物質を作る過程で使われる。日照時間の少ないシアトルでは不足しがち。シリアルや乳製品ほか、マイタケ、シイタケなどのキノコ類、豆腐といった大豆製品がおすすめ。

亜鉛:免疫細胞の生成や機能に必要なタンパク質生成に必須。甲殻類に多く、カニ、オイスター、ロブスターに豊富。ひまわりやゴマなどの種にも含まれる。

発酵食品:ほとんどの免疫細胞が腸内に集まり、腸内フローラと一緒に病原体を処理するため、発酵食品の摂取によりさらなる免疫機能を発揮。納豆、テンペ、キムチ、味噌、ヨーグルト、発酵ミルクなど。

ビタミンC:免疫機能に不可欠。また、活性酸素の増加を抑える役割も。がんの原因のひとつとなる細胞の炎症を防いでくれる。

L-グルタミン:アミノ酸の一種で、免疫細胞の増加や分泌物の生成をサポートするほか、腸内バリアを保つための腸細胞の栄養素となり、腸内環境の向上にはとても大事。鶏肉ほか、豆腐、ヨーグルト、豆類にも。

運動と睡眠

生活習慣も重要。適度な運動と良質な睡眠は、免疫細胞の正常化、活性化に有効だとわかっています。運動により血液の循環や腸の働きが向上し、免疫細胞が機能しやすくなって、病原体の感知や排出を後押しします。また、睡眠中は古い免疫細胞を含む細胞がリセットされ、修復、処理される時間。その日の細胞ダメージを回復させ、炎症を抑えます。ホルモンバランスも整い、さらに健康で病気に負けない体作りを助けます。

運動と睡眠は、がんの原因となる活性酸素や炎症の軽減、肥満、ストレスの予防にも欠かせません。体にとって毒であるアルコールや煙草は活性酸素を増やし、がんリスクと大きく関係していると言われるので避けることを心がけましょう。飽和脂肪酸や加工砂糖の過剰摂取も肥満につながり、大腸を始めとする臓器のがんリスクを上げてしまいます。これらは1日の摂取カロリーの10%以下を目指しましょう。


参考資料

  1. Immunity: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK279396/
  1. Diet and its role in immune function: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6723551/
  1. Glutamine and immunity: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6266414/
  1. Immune health: https://www.eatright.org/health/wellness/preventing-illness/how-to-keep-your-immune-system-healthy#:~:text=To%20help%20keep%20your%20immune,that%20may%20support%20immune%20health.
佐賀県出身。19歳の時に留学のため渡米。2015年に自然医療で知られるワシントン州のバスティア大学で栄養学を学んだ後、アイオワ州立大学での管理栄養士研修を経て米国管理栄養士の資格を取得。現在、フォーティー・ラブ・ニュートリションを個人で設立し、栄養カウンセリング、ワークショップ、ホルモン検査を通して30代以降の女性の美容、栄養管理、スローエイジング、ホルモンバランスの調整、デトックスをサポートする。 フォーティー・ラブ・ニュートリション ☎️206-234-4246、info@fortylovenutrition.com www.fortylovenutrition.com