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歯周病予防に適した歯ブラシ

健康な歯でスマイルライフ

日本では北海道医療大学歯学部で博士号を取得。米国でもロマリンダ大学歯学部を卒業し、2005年にPAN-PACIFIC DENTISTRY(パンパシフィック歯科医院)を開業した中出修先生に、アメリカで生活する日本人へ向けて歯や口腔について、説明していただきます。

歯周病予防に適した歯ブラシ

中高年以降で歯を失う原因、第1位は歯周病です。最近では高血圧、糖尿病、脳梗塞、心筋梗塞、未熟児出産のリスクを高めるなど、全身の健康の面からも歯周病予防の重要性が指摘されています。日本では、50歳以降で平均して2年に1本強の歯が喪失しており、60歳での平均歯数が17.8歯、80歳以上は4.6歯となります。中高年以降の歯の喪失をいかに防ぐかが大きな課題になっています。

一方、歯周病予防の重要なファクターのひとつである歯ブラシの選択においても、専門家間で実にさまざまな意見があり、完全な結論が出ているとは言えません。主な意見を取り上げつつ、筆者の臨床観察からの見解について書いていきたいと思います。

電動? 手動?

(1)電動歯ブラシ派の意見

手磨きよりも優れた電動歯ブラシを使ったほうが、口腔内の総菌数減少に効果があることがわかっている。短時間で効率良く磨ける電動歯ブラシは、口腔ケアの強い味方となる。

(2)手動派の意見

電動歯ブラシだけで口の中を隅々まで磨くのは難しい。また、電動歯ブラシの長期使用で歯がすり減ってしまう恐れがある。歯は普通の歯ブラシで磨き、電動歯ブラシは歯肉のマッサージ用くらいに考えておいたほうがいい(日本歯周病学会の見解も含む)。

歯ブラシの硬さ

(1)「ふつう」派の意見

毛が極細のやわらかい歯ブラシは歯垢の除去能力が劣る。ふつうの硬さが歯周病予防には良い。※歯周病予防という目的で硬めの歯ブラシを推奨する意見はほぼゼロ。

(2)「やわらかい」派の意見

歯肉を傷付けにくいので、歯肉が弱い方、出血しやすい歯周病を持つ方には最適。毛先も細い傾向にあり、ポケットの深部まで毛先が届き、清掃できる。

まとめ

筆者の見解としては、日々の臨床の観察および自身の使用経験から、手動で極細のやわらかい歯ブラシが歯周病予防に最適だと考えます。日本の歯周病学会の見解でも述べられていますが、電動のみで歯と歯肉の間や、歯と歯の間の細部まで磨くのは困難です。

歯周病予防で最も重要なのは、歯と歯肉の境をきれいにすること。歯ブラシの毛先はどうしても歯肉に当たるため、硬めの歯ブラシや、振動が強過ぎる電動歯ブラシを使うと、歯肉を痛めてしまいます。電動歯ブラシを使う場合、仕上げは手動のやわらかい歯ブラシで行ったほうがいいでしょう。

どの歯ブラシが推奨されるかは、専門家でも意見が分かれています。相性も多少あるかもしれません。しかし、大切なのは、自分が使用している歯ブラシで、実際にプラークがきれいに除去されているか、かかりつけの歯科医や歯科衛生士に定期的にチェックしてもらうことです。歯石除去と併せて日々のプラークコントロールを頑張ることが、歯の健康維持には欠かせないと言えます。

中出 修
福井県出身。1985 年、北海道医療大学歯学部卒業。1993年、同大で博士号を取得後、講師に就任。 2003年、ロマリンダ大学歯学部卒業。歯科医勤務を経て2005年、タコマ近郊に開業。2006年10月にサウスセンターモール近くに移転。 パンパシフィック歯科医院 Panpacific Dentistry 411 Strander Blvd. Suite 207, Tukwila, WA 98188 ☎ 253-243-7748