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お腹の調子が悪いのは、もしかしてSIBOが原因?〜栄養学で若返り!スローエイジング

栄養学で若返り!スローエイジング

ゆっくりときれいに年を重ねることを目指す「スローエイジング」という考え方。更年期が気になる大人の女性に向けて栄養学の発展したアメリカ在住だからこそ実践したい、元気で若い体づくりを提案します。

お腹の調子が悪いのは、もしかしてSIBOが原因?

現在、過敏性腸症候群(IBS:Irritable Bowel Syndrome)と見られる胃腸疾患で悩む方が増えてきています。ただ、この中には腸内細菌異常増殖症候群(SIBO:Small Intestinal Bacterial Overgrowth)の疾患を持つ方も含まれているかもしれません。

ひと際増えているSIBOとは

実は、IBSと診断される患者の約80%が、SIBO疾患ではないかと言われています。もしそうであれば、SIBOを治療することで、IBSほかの胃腸症状も緩和できるかもしれません。SIBOの原因は、まだはっきりとわかっていませんが、何らかの理由で腸内細菌が異常に増加し、以下の症状が現れるようです。IBSの症状と似ていることも特徴です。

○腹部膨満
○腹部の痛みや痙攣
けいれん

○便秘
○下痢
○食後の疲労感
○ブレインフォグ(脳の霧)
○肌荒れ
○関節痛や片頭痛
○腸漏れ(リーキーガット)症候群

また、SIBO疾患のほとんどで胃酸や消化酵素が減少し、消化不良、栄養吸収不良に陥ることが知られています。腸に何らかの疾患があると、胃腸機能への影響だけではなく、うつなどの精神疾患、甲状腺機能低下、肥満などのリスクも。症状が気になる方は、かかりつけ医に相談して検査を行い、栄養面でも食事療法を取り入れていくと良いでしょう。

SIBOの診断方法と治療

SIBOの診断によく使われるのは、ブドウ糖やラクツロースを使用した呼気検査です。腸内で健康に悪影響をもたらす細菌は、 消化されていない炭水化物の発酵で増殖します。その過程でメタンガスと水素ガスが発生し、肺呼吸を通して外部に出されます。SIBO疾患の方は、どちらのガスがより検出されるかで症状も異なってきます。たとえば、メタンガスが多いと便秘がちで、水素ガスが多いと下痢症状を引き起こします。ほかに、検便や腸内視鏡検査などで詳しく調べることもあります。

診断確定後は、異常細菌を減らすために、一般的にはリファキシミン(Rifaximin)という抗生物質が処方されます。抗生物質に抵抗のある方はハーブ治療も可能で、オレガノオイルなどのハーブをブレンドした薬で細菌を減らせます。両方とも効果的な治療ですが、再増殖を防ぐために何回か行うことになります。細菌増殖に歯止めがかかってから、細菌増殖の予防や胃腸機能の向上を目的に、栄養面からさまざまな対策を行います。

栄養面からの対策

SIBO疾患では細菌異常により、腸内炎症が起きたり、胃腸機能が衰えたりします。そこで、腸内の炎症やダメージの軽減ほか、腸細胞の正常化、栄養素の消化・吸収アップを優先させます。お腹の調子が悪いのは、もしかしてSIBOが原因?

まず、抗炎症作用があり、胃酸や消化酵素の分泌を促進する食べ物やサプリを摂取します。また、細菌増殖の予防には、ストレス軽減を含め生活習慣の改善が望まれます。腸の蠕ぜんどう動運動を活発化させるエクササイズやハーブなども有効です。

腸内の炎症やダメージを抑える食べ物としては、抗酸化作用のある緑黄色野菜や魚介類などが挙げられます。また、SIBO疾患で吸収しにくくなる栄養素をサプリで補うのも良いでしょう。消化、吸収を手助けする食べ物は、殺菌作用のある胃酸や胆汁酸などが減少し細菌増殖が起こるのを防いでくれます。

【積極的に摂取したいもの】

●ビタミンB12:胃酸がないと腸内で吸収できないため、胃酸が減少するSIBOには特に必須。肉類、卵、乳製品、ニュートリショナル・イースト、シリアルに豊富。
●脂溶性ビタミン:ビタミンA、D、E、Kは、すい臓から分泌する消化酵素や肝臓で作られる胆汁がないと腸内で吸収するのが困難なので、食事やサプリから積極的に摂取を。同時に消化酵素の分泌を助けるサプリも取り入れて。
●ショウガ:消化、吸収を促す。症状によっては、ベタイン(Betaine)HCI、フォスファチジルコリン(Phosphatidylcholine)など、消化促進のサプリで補うことも検討したい。

【極力避けたいもの】

●果糖や飽和脂肪酸:腸内に悪影響を与え、症状を悪化させる。
●加工食品、グルテン、乳製品:治療期間はできるだけ避ける。

減少する消化酵素を補うため、腸内の排出機能を高めていくことも大切です。腸内に消化されずに残った食べ物がたまっていき、さらに症状が悪化しがち。また、ストレスや食事により、腸の自動蠕動機能(MMC:Migrating Motor Complex)が下がるので、間食を避ける、次の食事まで少なくとも4、5時間空ける、夕食から朝食までは12時間ほど空けると良いでしょう。そうすることで、腸内にたまった悪いものを排出しやすくなります。

SIBO疾患は原因も症状もさまざま。抗生物質で一時菌を排除できても、再発率や抗生物質抵抗リスクが高いうえに、善玉菌が減少するデメリットも。専門家と共に細菌異常増殖の原因を探り、個々に合った食事やサプリを見つけていくことが最善の策と言えます。


参考資料

  1. Treatment and Management of SIBO https://www.todaysdietitian.com/newarchives/121112p16.shtml
  2. Small Intestinal Bacterial Overgrowrg https://foodandnutrition.org/from-the-magazine/small-intestinal-bacterial-overgrowth/
    3.Small Intestinal Bacterial Overgrowth and Irritable Bowel Syndrome: A Bridge between Functional Organic Dichotomy
    https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5347643/ 4.Chemical Digestion and absorption- a closer look https://courses.lumenlearning.com/suny-ap2/chapter/chemical-digestion-and-absorption-a-closer-look/ 5.Harbal Therapy https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4030608/
佐賀県出身。19歳の時に留学のため渡米。2015年に自然医療で知られるワシントン州のバスティア大学で栄養学を学んだ後、アイオワ州立大学での管理栄養士研修を経て米国管理栄養士の資格を取得。現在、フォーティー・ラブ・ニュートリションを個人で設立し、栄養カウンセリング、ワークショップ、ホルモン検査を通して30代以降の女性の美容、栄養管理、スローエイジング、ホルモンバランスの調整、デトックスをサポートする。 フォーティー・ラブ・ニュートリション ☎️206-234-4246、info@fortylovenutrition.com www.fortylovenutrition.com