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体重増加はストレスのせい?〜栄養学で若返り!スローエイジング

栄養学で若返り!スローエイジング

ゆっくりときれいに年を重ねることを目指す「スローエイジング」という考え方。更年期が気になる大人の女性に向けて栄養学の発展したアメリカ在住だからこそ実践したい、元気で若い体づくりを提案します。

体重増加はストレスのせい?

どんなに食事や運動に気を付けていても、なかなか痩せないという方は多いのではないでしょうか。それは、ホルモンが関係しているかもしれません。その原因と対策を探っていきましょう。

ストレスホルモン、コルチゾールとは

特に40歳以降では基礎代謝が低下し、肥満や糖尿病などのさまざまな慢性病のリスクが上がると同時に、体重維持も難しくなります。頑張ってもなかなか痩せないと、次第に自信を失い、ストレスもたまる一方。そうなれば、さらに体重が落とせない悪循環に陥ってしまいます。

実は、体重増加の要因のひとつに、コルチゾールという「ストレスホルモン」の影響が挙げられます。脳で感知された身体的、精神的ストレスは脳から副腎に伝わり、ストレスに対応できるようにコルチゾールが分泌されます。その結果、脳の機能が向上して集中力は高まりますが、血圧や血糖値の上昇、胃腸機能低下を招きます。私たちの体をストレスから守るために、コルチゾールの分泌は欠かせません。しかし、一時的なら良いのですが、それが慢性化してしまうと、以下のように、逆に体へ悪影響を及ぼします。

コルチゾールの過剰分泌がもたらすリスク
●食欲増加
●血糖値の上昇
●インスリン抵抗性
●体重増加、肥満
●糖尿病、高血圧
●胃腸疾患
●炎症
●免疫機能低下
●うつ、不安

ストレスとインスリンの関係

では、体重増加について、コルチゾールはどのように関係しているのでしょうか? 前述の
通り、ストレスに対応するため、コルチゾールは血糖値の上昇を促します。すると、血糖値の上
昇に反応して、すい臓がインスリンというホルモンを分泌。インスリンは細胞に糖分の存在を
知らせるシグナルを送り、血糖値を下げるよう働きかけます。

インスリンのおかげで細胞は血中の糖分を吸収し、エネルギー生成を行うことができます。
ただし、コルチゾールの過剰分泌により糖分が吸収されず、血糖値が上昇したままだと、すい臓
はさらにインスリンを分泌しますが、糖分は脂肪細胞として蓄えられてしまいます。それが、
体重増加や肥満の要因となるわけです。

また、細胞自体がインスリンに反応しなくなるインスリン抵抗性、さらには糖尿病につなが
る恐れも。細胞が糖分を吸収できないので、甘いものや炭水化物を過剰に欲するようになり、
疲労感などの症状が表れます。一般的にアジア系の方はストレスに強いとされますが、その分
無理をして、症状に気付かないまま健康を害してしまうケースも多く見受けられます。

要注意! ストレス過多のサイン
●甘い食べ物への欲求
●食後の疲労感
●慢性疲労
●不眠
●顔やお腹周りの脂肪
●体重増加
●消化不良、膨満感、便秘などの胃腸疾患
●頭痛やうつ、パニック障害

ストレスと向き合う

この機会に自分が感じているストレスを認識して、解消法を見つけていきましょう。ストレスは人によって感じ方が違います。現代の忙しい生活では、気付かないうちにストレスを抱えていることが多々あります。自分では大丈夫と思っていても、体に症状として表れてきます。

まずは、自分が何にストレスを感じているのかを書き出してみましょう。そして、そのストレスがあって良かったことを考えてみてください。誰しもストレスを感じている物事に対しては悲観的になりがちですが、良い側面を見出すことでストレスの感じ方も変わってきます。

たとえば、いつも渋滞に巻き込まれてストレスを感じる場合、どんなメリットがあるのか想像してみます。ゆっくり安全を確認しながら運転できる、車中で好きな音楽を聴きながら自分の時間を過ごせる、などと挙げていくと、ストレスの感じ方が変わり、気持ちが楽になることでしょう。

ストレスに強くなるために

コルチゾールの分泌が慢性化すると、胃腸機能も低下します。そうすると、さまざまな栄養素の吸収に影響し、特に水溶性ビタミンのB、C群を消耗しやすくなるため、注意が必要です。 イベント続きで忙しくなるホリデー・シーズン、栄養面、生活面では以下を踏まえ、ストレスにうまく対応していきましょう。新しい年に向け、毎日続けやすい健康的なリラクゼーション方法を見つけることも大切です。

●血糖をコントロール:精製された炭水化物は、必ずタンパク質や良質の油を一緒に取ること。コルチゾールにより乱れた血糖値を安定させ、満腹感も得られるので、ストレスによる過食を減らすことができます。
●抗酸化物質は必須:体にストレスがかかると、水溶性ビタミンや抗酸化物質を消耗してしまい、肌トラブルや体重増加の要因に。そのため、食事やサプリで補うことが肝心。特にビタミンB、C群、オメガ3脂肪酸などは、ストレスが多い時の味方です。睡眠トラブルがある方は、マグネシウムも取ってみましょう。食事には柑橘系果物、緑黄色野菜、豆類、肉類などをバランス良く取り入れましょう。
●消化や副腎機能を助ける食べ物:ストレスにより胃腸機能が低下すると、胃酸をうまく分泌できず、消化不良、便秘、細菌感染、腸内細菌異常増殖症候群(SIBO)などの胃腸疾患を引き起こします。消化を促進させるショウガやペパーミントほか、善玉菌が豊富なヨーグルト、発酵食品の摂取を心がけましょう。また、消化酵素が含まれるパパイヤ、パイナップル、マンゴーなどもおすすめ。
●適度な運動も忘れずに:運動で血行が促進されると、エネルギー生成の材料となる酸素が細胞に行き渡るので、気分良く過ごせるはず。ストレス発散にも効果的。また、代謝の向上や免疫細胞の活性化も期待できます。
●睡眠の質を高める:寝付きが悪い方は、夜にタンパク質を多く摂取してみてください。「幸せホルモン」のセロトニンが作られやすくなり、快眠効果は抜群。逆に避けたいのは、油ものや炭水化物です。睡眠中の胃腸機能や血糖値に悪影響を与えるため、なるべく控えましょう。


参考文献

  1. Does Cortisol Affect Weight Gain? https://www.healthline.com/nutrition/cortisol-and-weight-gain#cortisol-basics
  2. Stress and Obesity: Are There More Susceptible Individuals? https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5958156/
  3. Eat These Foods to Reduce Stress and Anxiety https://health.clevelandclinic.org/eat-these-foods-to-reduce-stress-and-anxiety/
  4. Association Between Dietary Protein Intake and Sleep Quality in Middle-Aged and Older Adults in Singapore https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8959711/
バリット 左由利
佐賀県出身。19歳の時に留学のため渡米。2015年に自然医療で知られるワシントン州のバスティア大学で栄養学を学んだ後、アイオワ州立大学での管理栄養士研修を経て米国管理栄養士の資格を取得。現在、フォーティー・ラブ・ニュートリションを個人で設立し、栄養カウンセリング、ワークショップ、ホルモン検査を通して30代以降の女性の美容、栄養管理、スローエイジング、ホルモンバランスの調整、デトックスをサポートする。 フォーティー・ラブ・ニュートリション ☎️206-234-4246、info@fortylovenutrition.com www.fortylovenutrition.com