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全日本空輸株式会社 中村亮太郎さん

シアトル駐在日誌

アメリカでの仕事や生活には、日本と違った苦労や喜び、発見が多いもの。日本からシアトルに駐在して働く人たちに、そんな日常や裏話をつづってもらうリレー連載。

取材・文:磯野愛

中村亮太郎さん広々としたスペースで快適な空の旅を楽しむことができるボーイング787のビジネスクラスにて

中村亮太郎■東京都出身。2006年、全日本空輸株式会社(以下ANA)入社。連載史上初、毎日ビシッとスーツを着こなして出勤する駐在員。

飛行機が大好きで入社したANAで最初に配属されたのは、成田空港でパイロットのフライトを地上からサポートする「運航支援」の部署でした。飛行ルートの気象状況や滑走路の状態を報告したり、離陸時の飛行機重量を計算したりもします。この部署では「運航管理者」という国家資格を取得することが推奨されていて、私も2009年に取得しました。学科試験は6教科あり、国土交通省の審査官による面接試験は、フライトプランの策定なども含めおよそ4時間の長丁場。社内訓練など会社から手厚い支援を受けつつも、働きながら試験勉強するのは大変でした。

約6年間の成田空港での勤務の後、運航業務を離れて汐留オフィスにある「商品戦略部」に異動することに。国内線機内への電子マネー決済やWi-Fiを導入するプロジェクトに携わったり、プレミアムクラスの機内食を開発したりと、新たな機内サービスを開発する業務を担当しました。

10歳の息子壮太郎くんとアーリントンのパンプキンパッチへ

その後、2017年にシアトル赴任が決まり、現在は初めての海外勤務を体験中です。シアトル−タコマ国際空港内にあるオフィスではオペレーションマネジャーとして、1日1便の成田−シアトル便に関わる全ての業務を担当しています。何よりも大切な安全管理から、個別のカスタマーサポート、諸般の事情によるやむを得ない遅延判断、VIPのエスコートなど、幅広い業務に携わる「何でも屋」です。そのほか、毎年シアトルで開催される「ボーイング・クラシック」やアメリカ女子ゴルフツアーの「ANAインスピレーション」といったゴルフイベントでのPR活動、地元の日本企業が集まるシアトル日本商工会(春秋会)によるイベント出展などを通じて、ANAの存在をアメリカ社会に広げていくことも大事な仕事の一部です。一緒に仕事をしている現地のスタッフは日本人もアメリカ人もいますが、安全運航という共通の目標に向かって一致団結する姿には、正直こちらが驚かされるほど。個別の事象に対しては、どちらの国のスタイルが良い・悪いではなく、お互い気持ち良く仕事ができる着地点を探しながら、臨機応変にマネジメントできるよう心がけています。

自宅はベルビューにあります。日本では深夜までの残業や飲み会など、絵に描いたようなサラリーマン生活を送っていたのですが、シアトルに赴任して以来、子どもと過ごせる時間が大幅に増えました。休日は野球やサッカー観戦、季節のイベントなどに出かけています。先日は家族でシルク・ドゥ・ソレイユも観劇しました。お酒の量が減り、健康への意識も高まりました。マンションに併設されたジムに通い、機内販売で手に入れた腹筋マシンも使って、日々鍛錬しています。

天候の優れない日でもスタッフ総出で見送り出迎えする姿にファンも多い

ANAは英国SKYTRAX社のワールド・エアライン・スター・レーティングにおいて6年連続で世界最高評価の「5スター」を獲得しました。日本の航空会社として、お客様のニーズに対し「ジャパン・クオリティー」と称されるきめ細かい心配りができるサービスを機内・機外問わず、チームワークで体現していくことが目標です。常に変化を続ける環境の中で、これからも信頼できる安全品質や高い定時性でお客さまの期待に応え、日本人からもアメリカ人からも共に「選ばれる航空会社」となれるよう、チーム一丸となって頑張っていきます。